『TOKYO MER』音羽が生気を失った喜多見を救う? 最終回放送への期待
「わかってほしかったんです。いつも満面の笑みで理想を語っていた喜多見先生に。世の中は不条理だってことを」と椿は言ったが、彼はかつての喜多見に“間に合わなかった”経験があることを知っているのだろうか。喜多見の原体験はむしろ“間に合わなかった”ことから来ているのだ。第1話冒頭で明かされていたが、幼少期にアメリカで遭遇した銃乱射事件で両親を亡くしている上、母親については負傷後すぐに搬送されず目の前で息絶えたのだ。幼いながら「助けて下さい。お医者さんはいませんか?」と一人叫び続ける喜多見少年はどれだけ心細く、孤独で絶望に打ちのめされたことだろう。
このあまりに不条理な原体験が喜多見の中で「待っているだけでは救えない命がある」という信条に繋がる。やはり彼は“負の感情”の再生産には決して加担しないのだ。涼香の件だって、幼少期のこの時とは違い“間に合わなかった”訳ではない。彼が椿のおぞましいやり口に気づき、そして負傷した涼香の処置を精一杯施したではないか。搬送さえされず必要な処置さえ受けられない母親の隣でただただ立ちすくむしかなかったあの頃の喜多見とは違う。“最強のチーム”になったMERのメンバーの存在だってある。これまでに喜多見が身を持って示してきたいつだって優先すべきことと、どんな状況下であってもどんな事情を抱えていようと“命より大切なものなどない”という大前提は彼らの中で強烈に根付いている。
ここぞとばかりにMER解体を目論むのであろう白金厚労大臣陣営に対して、音羽はどんなスタンスを貫くのか。すっかり生気を失って心の真ん中に空洞を抱えてしまった喜多見にまた情熱を灯せるのか。最後に彼の心に着火できるのは、“最悪の2人”から“最強のバディ”になった音羽しかいないだろう。
そして赤塚知事がずっと話していた「MERを作った本当の理由」とは一体何なのか。それは、椿らテロリストが成し遂げようとしていることと関連するのか。椿の喜多見へのある種羨望の裏返しにある嫌悪のような感情や、なぜ彼がそこまで喜多見に執着するのか、椿の背景にあるものも気になるところだ。
また、誰一人欠けずに全員が揃ったMERの勇姿が見られると信じて最終話の放送を待ちたい。
■放送情報
日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、要潤、小手伸也、 佐野勇斗、佐藤栞里、フォンチー、佐藤寛太、菜々緒、鶴見辰吾、橋本さとし、渡辺真起子、仲里依紗、石田ゆり子
脚本:黒岩勉
プロデューサー:武藤淳、渡辺良介、八木亜未
演出:松木彩、平野俊一
製作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TokyoMER_tbs/
公式Twitter:@tokyo_mer_tbs