増田貴久、『ボイスⅡ』“透ちゃん”役が切なすぎる 作品に緊張をもたらすリアルな焦燥感

 回を追うごとに石川の症状は悪化し、薬に頼るシーンでは焦った様子で薬を手にする一幕も。刑事という仕事とは対照的に、少し丸まった背中が切なかった。そしてついには記憶が飛んでしまう。「自分が何をしたのかも記憶があいまいになる」という薬剤師の忠告通りに、記憶が飛んで呆然と立ち尽くす石川。少しずつ表情に力がなくなり、記憶が飛んだときの何とも言えない全てを見失った顔つき、じわじわと心身が蝕まれ、追い詰められていく過程をリアルに演じている。

 昨年上演されたミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』では主演のフィンチ役を演じた増田。陽気でお茶目なキャラクターだっただけに、石川透役とのギャップに増田の演技力の振り幅を感じる。

 ステージでも、トレードマークともいうべきスマイルをみせ、聴く者の心を癒すような優しい歌声もあれば、一転して激しいラップやシャウトと、歌声のバリエーションが豊富だ。演技も同様、まるで声色を変えるように厳しさや荒々しさ、石川の根底にある繊細さを表現している。

 回を追うごとに追い詰められていく石川の姿に、どうかこれ以上、透が傷つきませんように、どうか無事でありますように……と願わずにはいられない。果たして最終章ではどんな展開が待っているのか、最後の最後まで目が離せない。

■放送情報
『ボイスII 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、宮本茉由、中川大輔、藤間爽子
原作: Based on the series “Voice”,produced and distributed
by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd,and written by Jinwon Ma.
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、能勢荘志、戸倉亮爾 (日テレアックスオン)
演出:大谷太郎、久保田充、西村了(日テレアックスオン)、茂山佳則(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice2/
公式Twitter:@voice_ntv
公式Instagram:@voice.ntv

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる