『かのきれ』梨沙役での“切な顔”の威力 佐久間由衣は勝ち気な悲恋キャラが似合う?

佐久間由衣は勝ち気な悲恋キャラが似合う?

 現在放送中の火曜ドラマ『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)で存在感を放つ、佐久間由衣。彼女の演じる桐山梨沙は、ついに第7話で長谷部宗介(中島健人)に正体と嘘がバレてしまい、コミュニケーションを拒絶されてしまった。おそらく彼に胸の内を明かそうと思って書いた手紙も、受け取ってもらえずに。もとより、梨沙が親友の佐藤愛(小芝風花)を装って彼のことも、そして愛本人のことも騙していたのが悪いわけだが、普段からモテる彼女がようやく見つけた“初恋”が散る様子に、少し同情さえしてしまう。そう感じさせるのは、やはり演じている佐久間由衣の発揮する“切な顔”の威力あってこそだ。

 佐久間は、2013年から女性ファッション誌『ViVi』の専属モデルとして登場。自身の憧れのモデルであると公言する紗羅マリーのように、172センチの頭身を活かしショートヘアのモデルとして誌面で活躍。女優としても早々に2014年の映画『人狼ゲーム ビーストサイド』でデビューを果たした。同時期に同じ『ViVi』で活躍していたのは玉城ティナに八木アリサ、そしてトリンドル玲奈と、モデルとしてだけでなく俳優活動にも積極的に取り組んでいる面々ばかり。その中でも、佐久間由衣は特に在籍4年という短い期間で『ViVi』を卒業し、俳優に専念した印象がある。卒業とほぼ同時タイミングで出演した2017年の朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)で有村架純演じるヒロインの幼なじみ役として、一気に国民的な知名度を上げたものだ。

 そんな彼女が『彼女はキレイだった』で演じるのが梨沙という役柄。その美貌を活かした、男性に困らない、まさにモテ女というキャラクターだが、第7話の展開のように本当に好きだと思った相手とはうまくいかないという悲恋キャラでもある。それがなんとなく、佐久間の初主演映画『“隠れビッチ”やってました。』の主人公・荒井ひろみを想起させるのだ。この作品でも、佐久間は見た目こそ清楚だがかわいらしいルックスを活かして数多の男を翻弄するという役柄を演じている。しかし、タイトルにある“ビッチ(bitch=性悪女)”が決して“ホア(whore=ヤリマン)”ではないように、ひろみは決して彼らと性的な関係を持たない。そこにある意味でのピュアネスがあり、親友を騙しながらも初めての本当の恋心に揺れる梨沙に通ずるものがある。それにどちらも、自分の美貌に自信を持っているキャラクターだ。梨沙は主人公の愛と比べて、自己肯定感も高く自信を持っており、同じく、ひろみも自分のかわいさを理解してそれを利用するという“隠れビッチ”である(自己肯定感が低いが故に男にちやほやされたいという逆説的な真理を抱えた興味深いキャラクターでもあるのだが)。なにより、泣き顔が本当にかわいい。佐久間の特徴的なぷっくり唇とつぶらな瞳も、彼女の演じるキャラクターに共通するピュアネスを表現する大切なパーツなのだ。

『“隠れビッチ”やってました。』(c)『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社

 豪快で破天荒、酒に溺れて暴れたり相手を傷つけたり、自分も傷ついたりと忙しないひろみという役だが、演じる佐久間本人は酒も普段から飲まなければ、飲んだとしてもそこまで酔わないらしい。『“隠れビッチ”やってました。』のオファーが来た時は、タイトルに驚きつつも台本を読んで、激情型のヒロイン像に惹かれて挑んだそうだ。撮影開始直後は、本作で監督・脚本を務めた三木康一郎に「まだまだ振り切ってない」と指導されたと、マガジンサミットでのインタビューにて語っている。自分とはかけ離れた役柄に入り込むために、カラオケボックスで酔っ払った体で暴れたりしたらしい。彼女の演技のルーティンとして、現場入りする前に一度感情を100%乗せて演じるらしく、「自宅でやって苦情がきたからカラオケ」と同インタビューで答えている。彼女は本作で第32回東京国際映画祭の東京ジェムストーン賞を受賞していて、映画祭の舞台挨拶で話す姿やインタビューを受ける姿は本当に落ち着いてのんびりとした、ひろみとは正反対の“凪”のような印象だ。だからこそ、その役作りに対する努力が窺える。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる