『かぐや様は告らせたい』2作連続初登場1位 その一方で忍び寄るデルタ株の猛威

『かぐや様』2作連続初登場1位の一方で……

 先週末の動員ランキングは、『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』が土日2日間で動員12万4500人、興収1億6400万円をあげて初登場1位となった。初日から3日間の累計は動員19万5000人、興収2億5200万円。この成績は、約2年前となる2019年9月に公開されて、同じく初登場1位となった前作『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』から約45%ダウンという数字。近年製作本数そのものが減少し、ヒット作にも乏しく、当コラムでも取り上げる機会が激減したティーンムービーの中ではそれでも孤軍奮闘しているわけだが、最終興収22.4億円を記録した前作からどの程度の減少に食い止めることができるだろうか。ちょうど先週末は、主演の平野紫耀(King & Prince)は、東宝ティーンムービーの申し子とも言える浜辺美波と共演した24時間テレビドラマスペシャル『生徒が人生をやり直せる学校』が(今年の『24時間テレビ』全体は低調だった中で)高視聴率を記録したばかり。相乗効果という点でも、公開のタイミングは悪くなかったと思うのだが。

 もちろん、これまで年齢別では比較的感染が少なかった10代20代にも、若年層に感染が広がりつつある新型コロナウイルスのデルタ株による心理的影響が広がっていることは考慮しなくてはいけないのかもしれない。本人はそれほど気にしていないとしても、本作の観客層だと映画館に行くのに保護者の許可が必要な世代も少なくないだろう。昨年6月に全国的な映画館休業が明けてからは若年層が引っぱってきた国内の映画興行だが、ここにきて新たな局面に入ってきたと言えるのかもしれない。

 そのことを裏付けるかのように、本日8月26日、東宝配給で9月10日から全国公開が予定されていた『鹿の王 ユナと約束の旅』の公開延期が発表された。上橋菜穂子の本格的なファンタジー小説『鹿の王』を原作とする同作は、内容的には必ずしもファミリー向けやティーン向けの作品ではないものの、やはり一般的なアニメーション作品の観客層をふまえての「公開延期」の決断だったのだろう。主人公の一人が、難病の治療法を解明しようとする医療従事者(医術師)であるという物語の設定的にもタイムリーな作品であるだけに、できるだけ早期の新公開日の決定を期待したいところだ。

 国別のワクチンの接種率とほとんど関係なく(このペースだと来月にも日本はアメリカに一応追いつくわけだが)、現在デルタ株は世界各国で猛威を奮っていて、これまで何度も公開延期を繰り返してきたいくつかのハリウッド大作も、ここにきてさらに公開延期となる可能性がアメリカ国内で取り沙汰されている。もしアメリカで公開延期となれば、ほぼ確実に日本もそれに準じることになるだろう。一体、いつになったら「映画の日常」が戻ってくるのだろうか……。

■公開情報
『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』
全国東宝系にて公開中
出演:平野紫耀(King & Prince)、橋本環奈、佐野勇斗、浅川梨奈、影山優佳(日向坂46)、佐藤二朗ほか
原作:赤坂アカ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(集英社・週刊ヤングジャンプ連載中)
監督:河合勇人
脚本:徳永友一
主題歌:King & Prince「恋降る月夜に君想ふ」(Johnnys’ Universe)
配給:東宝
(c)2021 映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 (c)赤坂アカ/集英社

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