『新スースク』ジェームズ・ガンも なぜアメコミ映画の監督にホラー畑出身者が多いのか?
非現実的なものをいかに信じさせるか、そしてその説得力を持たせる世界観を作れるかという点で、ホラーとヒーロー映画は類似している。しかし、それだけでなく技術面でも求められるものは同じなのだ。以前、デヴィッド・F・サンドバーグ監督はホラー映画監督がスーパーヒーローのジャンルに精通している理由について、以下の意見をCinemaBlendの媒体インタビューで語っている。
「恐らく、ホラー映画は正しく作るために多くの作業を要するからでしょうね。そこにはたくさんの映画製作スキルを用いる必要がある。だから、他のジャンル映画も撮れるようになるのだと思います」
確かに、ホラー映画を製作する上で常に意識しなければいけないことは、作品のトーンとスケールのバランス、そして何よりキャラクター個人の物語が映画のファンタジー部分に食われてぼやけてしまわないようにすることだ。この重要な部分は、アメコミ系映画製作にも通じている。スーパーパワーや、異世界人、ロボットアーマーに神の力と、あらゆるスーパーナチュラルで非現実的なものを扱うのがヒーロー映画であり、そこに対して経験値のあるホラー映画監督がそのジャンルを扱えるというのには納得がいく。そこに加え、『シャザム!』をはじめ『死霊館』ユニバース作品や『アクアマン』のプロデューサーであるピーター・サフランは、以下のように話している。
「ホラー映画製作者は、本質的なフィルムメーカーとしての正当な評価をあまりされていないように感じます。そしてようやく、我々はジェームズ・ワンやデヴィッド・S・サンドバーグのように、ホラー映画監督がスーパーヒーロージャンルの作品に本当にうまく入り込んでいけることに気づいたわけです」
ジャンル映画という視点で言えば、ホラーもヒーローものもなかなか正当な映画としての評価がされてこなかったことは、アカデミー賞の受賞結果を見れば明白だ。しかしヒーロー映画がここ10数年で一気に世界的に市民権を得始めた今、ホラー映画に対する捉え方にも変化が生まれることを願うばかりだ。
参照:Why Horror Directors Make Great Superhero Films, According To David Sandberg
■公開情報
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
全国公開中
監督・脚本:ジェームズ・ガン
製作総指揮: ザック・スナイダー、デボラ・スナイダー、ウォルター・ハマダほか
出演:マーゴット・ロビー、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、ジョエル・キナマン、ピーター・キャパルディ、シルヴェスター・スタローン、ヴィオラ・デイヴィス
配給:ワーナー・ブラザース映画
132分/2021年/R15+
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