ホラーではなく“ほっこりバディ映画”!? 『ヴェノム』の見どころは“負け犬同志の友情”

バディ映画としての『ヴェノム』

 今、世界で「スパイダーマン・ユニバース」が盛り上がっている。先週8月1日はスパダーマン誕生の日ということもあり、世界中のファンが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のトレイラーなどの新情報の解禁を待ちわびていた。もともと、そのスパイダーマンの宿敵としてもコミックで登場したヴェノムの最新作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の予告も公開、アメリカでは9月24日公開(日本は今年公開予定)が迫っている。それを観る前に、前作の『ヴェノム』はもちろん復習しておきたい。そんな絶好のタイミングで『ヴェノム』が8月7日21時よりフジテレビ系『土曜プレミアム』にて放送される。

 本作は、冴えない主人公(ただしイケメン)がとある生命体に寄生されて人間離れしたパワーを手に入れると同時に、同じ種の悪い寄生体に命を狙われる。これだけ聞くと『寄生獣』のあらすじみたいになるけれど、実際ほぼ『寄生獣』である。泉新一ことエディは、シンビオートと呼ばれる生命体のヴェノムに寄生される。しかし、ヴェノムはミギーのように右手だけにとどまらず、エディの全身に寄生しているため完全に同化して、彼の身体を軸に自分のフルボディ状態になることができる。時には『ど根性ガエル』のピョン吉みたいにエディと元カノの間を取り持ったり、ヘタレな彼の代わりに隣人に騒音の文句を言いに行ったり。『ヴェノム』は最初の予告編が出た時のホラー色とは打って変わって、ハートウォーミングなバディものとしての良さでファンに受け入れられた作品だ。

最初から優しさ100%のヴェノム 見どころのカーチェイスは爆上げ!

 ヴェノム、というかシンビオートと聞いて思い出すのは、サム・ライミ版の『スパイダーマン3』。そこでピーターの前に立ちはだかった“黒いスパイダーマン”ことヴェノムは、デイリー・ビューグルの新人カメラマン兼ピーターのことが大嫌いなエディ・ブロックJr.に寄生し、邪悪なヴィランと化した。名前に「Jr.」が入っているので、もしかしたらエディの息子設定なのかもしれないが、詳細はわからない。ただ、確かなのは『スパイダーマン3』で描かれたそれは、一旦『ヴェノム』を観るうえでは忘れていいということだ。なぜなら、この映画のヴェノムは超絶優しいから。

 彼が実際に姿を現すのは映画が始まって1時間くらいの、ちょうどミッドポイントにあたる。家に突然押し入ってきたカールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)の手下を前に、手をあげるエディに対し「カッコ悪いからやめろ」と怒る。そして、「チラ見せばかりで申し訳ありませんでした、ようやくヴェノムをお見せします」という制作側の声が聞こえんばかりに、その後繰り広げられる怒涛のカーチェイスシーン。これがやはり、映画の中で最も迫力があり、テンションが上がる見どころだ。何より、この時に初めてエディとヴェノムが意思疎通をしながら協力し、“俺ら”になる意味深いシークエンスでもある。

 ただ、もうこの時からすでにヴェノムは優しい。エディのフラットから脱出して逃げる際、プレステ(さすがソニー映画!)で遊んでいる他人の家に飛び込んでしまうシーンがあるが、この時も家主たちが追っ手の銃弾に当たらないよう、さっと自分の体でカバーしていた。バイクで逃げている時も後方からの攻撃からエディを守り、「ありがとう」と言われたら「いいんだ」とちょっと優しい感じで答える。「なんとかしろ」と言われたらなんとかするし、エディが元職場のビルを前にした時「登りたい?」と優しく聞きながら「そう言ってくれればいいのに」と上に連れて行ってくれる。もはや有能な彼氏か何かと錯覚してしまうほどの優しさ!



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