三宅裕司×楢林奏多×ゆめのが語る、劇団こどもSET『世界中がフォーリンラブ』にかける思い

三宅裕司らが語る『世界中がフォーリンラブ』

 『劇団こどもSET』による第3回公演『世界中がフォーリンラブ』が8月13、14、15日に東京・スクエア荏原 ひらつかホールで行われる。

 2018年に創立された劇団こどもSETは、劇団スーパー・エキセントリック・シアターが、将来の演劇界を担う才能を発掘するために立ち上げた小学生~中学生による劇団。三宅裕司の演出のもと、劇団SETが40年以上に渡って作り上げてきた「ミュージカル・アクション・コメディー」を継承することがこの劇団の大きな目的だ。

 『世界中がフォーリンラブ』は、昨年、劇団SETの本公演で上演された作品。三宅裕司、そして、本作で主役をつとめる劇団員の楢林奏多、ゆめのに、この公演に対する思いを語ってもらった。(森朋之)

三宅「自分たちが培ってきたものをどう伝えるか」

ーー『劇団こどもSET』は2018年に設立。小学生、中学生による劇団を立ち上げた理由を教えてもらえますか?

三宅裕司(以下、三宅):劇団SETを40年以上やってきて、僕自身も70才になりまして。普通に考えると「ミュージカル・アクション・コメディー」をやれるような年齢ではないし(笑)、もし僕が引退したら、この劇団がどうなるかはまったくわからない。そう思ったときに、ここまで作り上げてきた「ミュージカル・アクション・コメディー」を小学生、中学生の若い人たちに継承してもらいたいなと。特にコメディ、笑いというのは、舞台で体験しないとわからないんです。我々のノウハウを全て教えたいと思ったのが、劇団こどもSETを立ち上げた理由です。

ーー「ミュージカル・アクション・コメディー」を下の世代に浸透させたいという狙いも?

三宅:すでに浸透しているというか、どこでもやってますからね。僕らが劇団SETを作った頃は、こういう舞台は誰もやってなくて。お客さんが楽しめる要素を全部入れたのが「ミュージカル・アクション・コメディー」なんですが、多くの方が喜んでくれて、どんどん広まって。劇団こどもSETに関しては、さらにレベルが高い舞台を目指したいし、自分たちが培ってきたものをどう伝えるかを考えています。

ーー楢林奏多さん、ゆめのさんが劇団こどもSETに参加したきっかけは?

楢林奏多(以下、楢林):友達が劇団こどもSETに入っていて、「やってみたら?」と誘ってくれて。最初はどんな感じかわからなかったんですが、お稽古を続けているうちに楽しくなってきました。

ゆめの:私は小さい頃から、劇団SETの本公演を毎年観させてもらっていて。『ピースフルタウンへようこそ』を観たときに、その迫力に圧倒されて、「私もやってみたい!」と思いました。

ーー『世界中がフォーリンラブ』は昨年、劇団SETの本公演で上演。“感染すると、誰それ構わず愛してしまう”というウイルスが蔓延するという、コロナ禍を反映させた作品ですね。

三宅:最初は全然違うテーマだったんですよ。社会的なメッセージを楽しく、わかりやすく伝えるのも劇団SETのスタイルなんですが、最初のテーマは「子供達の現代病」だったんです。それを2019年の10月くらいから準備してたんですが、2020年の3月に「コロナ禍でこのテーマはきつくないか?」と思いまして、急遽、“純愛”をテーマにした台本に変えたんです。作家は大変でしたけどね。

ーー昨年秋の本公演では、出演者全員が立体透明マスクを着けてステージに立ちました。

三宅:昨年は舞台上で(感染防止のために)どうするのがいちばんいいのか、まだはっきりしてなかったんですよね。立体透明マスクは、僕がたまたまテレビで紹介しているのを見て、全員分を注文したんです。表情も見えるし、これならいいだろうと。ただ、稽古が大変だったんですよ。大勢で集まれないから、場面ごとに少人数で稽古するしかなくて。ふだんは周りにいる役者やスタッフの反応を見て、「ウケてるな」とか「演出を変えたほうがいいな」と判断するんですけど、それができなかったんですよ。稽古中は僕がひとりで決めて、初日の公演でお客さんの反応を見て、さらに変えて。お客さんもマスクしてるし、声も出せなくて、いろいろと勝手が違いましたね。

ーー奏多さん、ゆめのさんは本公演を観て、どう思いました?

楢林:おもしろかったです! 三宅さんが「ソーシャルディスタンス!」って言うところとか。

三宅:え、そこ? 若いヤツらが戦ってるところに出て行って、「お、やるのかな」と思ったら、「ソーシャルディスタンス!」って言ってハケるだけなんですけどね(笑)。

ゆめの:私もあの場面はおもしろかったです。あと、すごく長いリーゼントの人が出てきたり。

三宅:ソーシャルディスタンスを保つために、リーゼントを長くしてる人ね(笑)。

ーーギャグ満載ですからね(笑)。奏多さんが演じる大塚ポカリス、ゆめのさんが演じる武田有奈が出会い、恋に落ちるというストーリーですが、主演に決まったときの気持ちはどうでした?

楢林:発表されたときはビックリしましけど、嬉しかったです。大塚ポカリスは、すごく優しくて、ずるいことが嫌いな人だなって。有奈を助けようとがんばるところもすごいと思います。

ゆめの:本公演でキャストのみなさんが歌ってるシーンを見て、「私もやってみたい」と思っていたので、(主演に)決まったときは嬉しかったです。いちばん思ったのは、「がんばらなきゃ」ということですね。観てくださる方に「すごかったよ!」って言ってほしいなって。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる