『ラブライブ!』シリーズは何を目指したのか Aqours誕生の第2作を解説

「ここでμ’sさんのライブを初めて見て、私たちがこれからどういう事をしなければいけないのか、スゴく重みを感じました」

「登場したとき涙で前が見えなかった」

「あの時はもう私たちには無理だと思った」

「μ’sの方々の顔に泥を塗ったりしないかとか、そういうことを結構考えちゃったりとかしてた」

『ラブライブ! サンシャイン!! Aqours CHRONICLE』

 これらは、2019年1月14日にNHK総合テレビジョンで放送されたドキュメンタリー番組『シブヤノオト Presents Aqours東京ドームへの道 〜想いよひとつになれ〜』のなかで、Aqoursのメンバーが現地で見届けたμ’sのラストライブに関する感想だ。

 Aqoursとは『ラブライブ!』シリーズ第2作目『ラブライブ!サンシャイン!!』から生まれた声優ユニット。アニメ/声優シーンに大きな功績を残したμ’sの後輩にあたる(μ’sについてはこちらの記事を参照:『ラブライブ!』シリーズが長く愛される理由とは? μ’sの成長描いた第1作を解説)。

 上記の直截な言葉の数々を、番組のなかでは「μ’sへの憧れ」と表現し、ラブライブファンもそのように受け取ってきたと思う。しかし、彼女たちのプレッシャーはもはや畏敬を超えて恐怖とも言い換えてもおかしくはなかったことだろう。

 2015年7月に初めて顔を合わせ、2016年春に先輩の姿を見届けた彼女らは、3年後となる2018年11月17日・18日に行われた4thライブ『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~』で東京ドームを経験し、アニメシリーズも好評で終わりを迎えた。一見すると、μ’sにも劣らない作品・グループへと進化していったようでもある。

 スポ根、美少女アイドル、女子高生、ミュージカル、アニメーションの進化、楽曲の振れ幅、リアルライブでのアニメ演出とのシンクロナイズ……無印『ラブライブ!』における重要なエレメントを継承しながら、『ラブライブ!サンシャイン!!』には大きなゴールが設定されてもいた。

30分でわかる!これまでのラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ1期Ver.

 彼女らに課せられたのは、無印『ラブライブ!』とμ’sでは拾い切れなかったを未来を手にすること、端的に言えば、終劇とともに足を止めてしまったμ’sとは違い、足取りを止めることなく、「続ける」という未来を見せることにあった。

 そのために、『ラブライブ!サンシャイン!!』のストーリーはμ’sの足跡を追いかけながらも、μ’sとは別の選択を選ぶことに繋がる。地元である沼津からの応援や、同じく地方で戦う北海道の二人組声優ユニットSaint Snowの存在、たまに顔を出すμ’sへのリスペクトなど、μ’sのストーリーにはなかった存在をうまくクッションにしつつ、AqoursはAqoursのマインドセットを固めていくことになる。ストーリーの途中から生まれた「0から1へ、1からその先へ!」という合言葉は、まさにその現れだといえよう。

 これから作品を見ていてもらう方のためにも細かくは触れないが、大事な存在を失ってもなおAqoursは活動を続けていくことを選び、物語は終幕を迎える。達成できたもの、できなかったものを逡巡しつつ、彼女らはつぎの未来へと進んでいこうとするのだ。



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