『ブラック・ウィドウ』エレーナ役でさらに注目 フローレンス・ピューの飾らない魅力

フローレンス・ピューの飾らない魅力

 フローレンス・ピューに今、世界中が夢中になっている! マーベル映画最新作『ブラック・ウィドウ』でエレーナ・ベロワ役を務め、そのキャラクターの魅力と彼女自身の魅力が掛け合わさり人気を博している。マーベルのような規模感の作品に出演したこと自体、彼女のキャリア史上初のことなのでより一般的に彼女が知れ渡ったタイミングかと思うが、ピューが日本の映画ファンに“見つかった”のは2020年に公開された『ミッドサマー』、そしてアカデミー賞助演女優賞にもノミネートされた『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』ではないだろうか。

『ミッドサマー』(c)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

 もともと『ミッドサマー』出演時から、彼女の演じる主人公ダニーの(メンタルとトラウマを除けば)ごく普通な彼女像が印象的だった。それはピューの体型を含めたヘアメイク、ファッションといったルックスからきていて、従来の“ザ・ハリウッドの金髪美人ヒロイン”とは少し違う、「普通に友達の彼女にこういう子いるよね」という“一般性”にあった。それが劇中の感情を吐き出すエモーショナルで激しい演技とのギャップも生み出したのである。ちなみに、彼女が号泣シーンで咽び泣きながら苦しそうに咳き込んでいたのは、幼少期に患っていた気管軟化症の後遺症なのだという。若干25歳という年齢に反した、低く、聴き心地の良いハスキーな声もその病気によるものなのだ。

家族の仲がとにかく良い!

 イングランドのオックスフォード生まれ、スペイン育ちのピューは家族との仲がとにかく良い。父親はレストランの店主、母親はダンサーであり、ダンスの先生もしていたということで、幼少期からとにかく食べて踊るのが好きだった。俳優として活動する兄セバスチャン、俳優および歌手として活躍するアラベラ、そして16歳の妹ラファエラと4人兄弟の中でピューは3番手。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』では甘えん坊で少々わがままな末っ子を演じていたが、妹との年齢差が約10歳もあるのだから、彼女も幼少期は両親や家族から存分に愛情を注がれていたのかもしれない。子供の頃から目立つのが好きだったというピューはYouTubeに弾き語り動画を披露していたり、似合うからという理由で顔にペイントを描いたまま過ごしたり。そういう、素直に伸び伸びと過ごした幼少期が今の彼女の魅力を形成しているのかもしれない。

Wonderwall by Oasis sung by Florence Pugh (flossie rose)

 先にも言ったように、ピューの家族はとにかく仲良くて、みんなでピューの出世作『ミッドサマー』を観に行ったこともあるそう。ピューが演じたダニーの家族が冒頭に集団自殺するという描写も、16歳の妹曰く「全然怖くない」と、気にしなかったようだ。

 彼女がアカデミー賞にノミネートされた時も、両親は会場に駆けつけてくれた。その時のエピソードをジミー・キンメルの番組に出演した際に話していたが、内容が面白すぎる。「二人ともキャラクターが強いから、チケットが一枚しかないことをどう伝えるか悩んでいたけど、結果二人とも来ることができて、彼らにとって人生で最良の週になったみたい。いまだにその時のことを話しているの」と、話すピュー。その両親がいかに個性的かをパーティーでの様子で説明する。

Florence Pugh on Black Widow & Her Mom Getting High with Snoop Dogg

 全てのパーティに顔を出したという彼女と両親は、中に入ると基本別行動で、合流した時にいかにお互いクールな友達を作ったかを競い合っていたという。最初に行ったパーティーでしばらく姿を見かけない母親を会場内で探していたピューは、彼女がケイト・ハドソンと話しているのを見つけた。一方、父親は脳内で勝手にレネー・ゼルウィガーとの妄想恋愛に耽っていたようで、結果ゼルウィガーに認知もされたそう。まさか彼女と友達になったわけないと疑っていたピューと母親だったが、日を改めてオスカー前夜のパーティでゼルウィガー本人が彼らの元にきて「素敵な旦那さんね」と言うから仰天したと言う。

 ピューの父親は誰とでも仲良くなるし、娘の連絡先を渡そうとするらしい。マドンナのパーティに行った際は「フロッシー、僕の新しい友達を紹介させてくれよ!」と、しつこくピューに話しかけ、ようやく彼女が振り返るとそこに立っていたのはノエル・ギャラガーだった。その頃、母親は何時間も行方をくらましていて、心配になったピューが探していると会場をフラフラしている彼女を発見。異様な様子に驚いたピューが「ママ、大丈夫? 何があったの?」と聞くと、「さっきまでスヌープ・ドッグとつるんでいた」と答えたそうだ。なんてクールで素晴らしい両親なのだろう。そういったフランクさは、娘のピューにも受け継がれている。現在彼女はロサンゼルス在住だが、故郷に帰ることも多く、その際は実家に泊まっている。10代の頃から何も変わらない、当時のインテリアのままの自室で寝ているというのだから、そういうところも素敵だなと思う。

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