イギリス、新型コロナに関する規制ほぼ全面解除 現地映画館からは「希望の知らせ」の声

イギリスのコロナ禍、映画館はどうなる

 イギリスの新型コロナウイルスに関する国内の規制を7月19日以降ほぼ全面解除するという計画に対し、現地の劇場や映画館は喜びの声を上げているそうだ。その日は「Freedom day(自由の日)」と呼ばれ、サジド・ジャヴィド保険相の声明によりパンデミックによる法的規制が解かれることとなるが、依然として人々にマスクの着用をし続けることが勧められている。

 ボリス・ジョンソン首相は、会場への入場条件としてワクチンパスポートなど、ワクチンの接種状態の確認を実施するよう促していると、以下のコメントを残した。

「社会的責任の問題として、我々はナイトクラブや大勢の人が集まる場所で予防接種や最近の陰性結果の証拠となるNHS COVIDパスを利用するよう要請しています」

 最近でもサッカー観戦などを巡り、多くの国民が集まっている様子が連日報道されているが、全面解除となる“自由の日”まであと1週間ということで、イベント主催者側が参加者のワクチン接種記録をチェックするシステムをどれだけ迅速に導入できるかが要となっている。

 そんな中、イギリスをはじめとするヨーロッパの映画館チェーンであるVue Cinemasの運営をするVue Internationalの広報が、「ソーシャルディスタンスの規制が7月19日をもって解除されることを嬉しく思います」と語っている。

「お客様が大画面でエンターテインメントを楽しむことの喜びを再び味わえている、そんなことを実感するかのように映画館への来館者数は着実に増えています。特に週末に公開した『ブラック・ウィドウ』はパンデミック始まって以来の最大のオープニング興収を記録し、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』も大ヒットしています。夏から秋にかけて多数のメジャー最新作の公開も続きます。イギリス政府からの新たなガイドラインに従って、安心でリラックスした環境で素晴らしい映画に出会える楽しみを全ての人が体験できる保証をしていきたいと思います」

 Vue Cinemasはイギリス国内で3番目に大きな映画館チェーン。過去1年で約5000ものラグジュアリーリクライニングシートを設置、7つの劇場で飲食物がセルフオーダーできるシステムやバーの導入など、積極的な改革を勧めていた。さらに、ロックダウンなど制限が日々変わりゆく中で、メンバーシップポリシーも変更し、上映開始3時間前までにオンラインで購入したチケットの払い戻しができるようにもしている。そんなVueは2020年12月から2021年5月17日まで、イギリスおよびアイルランドの全館が閉館されていた。“自由の日”における懸念の声はいくつも上がっている。しかし、半年にも及ぶ閉館という厳しい状況から、今後経営を巻き返そうと奮闘する映画館側にとって、それは「希望の知らせ」でもあるとのことだ。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。InstagramTwitter

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