『#家族募集します』俳優・重岡大毅が序盤から見せた真骨頂 俊平の想いに涙が止まらない

『#家族募集します』で重岡大毅の真骨頂

 だが、みどりがいなくなって101日目。運命が大きく動き出す。それは俊平の幼なじみ・小山内蒼介(仲野太賀)との偶然の再会。思い立ったら即行動&お人好しな蒼介は、頑なに笑顔の鎧で固めてきた俊平の心に、そして物理的に生活圏内にも、グイグイと入り込んでいく。

 その少々強引なくらいの親切心は、最近では敬遠されがちなもの。お節介、余計なお世話、善意の押し付け……そんなふうに言われてしまいがちな現代。実際に、俊平と同じくワンオペで子育てに奮闘しているシングルマザーの小学校教師・桃田礼(木村文乃)からは、一歩引いた冷ややかな眼差しを向けられてしまう蒼介。

 だが、なぜか蒼介のことは憎むことができない。それは踏み込みすぎた場合には、すぐに謝る素直さがあるから。人は悪気がなくても誰かを傷つけてしまうことはある。だからこそ、近年では人と接することを避けてしまう傾向に陥りがちだ。だが、蒼介のように何度もぶつかることで、やっとちょうどいい距離感を知ることができる場合もある。直接、俊平の頭をワシャワシャと触れることよりも、キャッチボールをする距離のほうが本音を話しやすいように。

 ボールを投げながら、少しずつほぐれていく俊平の笑顔の鎧。自分が笑っていなければと辛い気持ちを誰にもこぼせなかったこと。みどりが帰ってこないのは、俊平が子どもの頃に妄想した「戦隊ヒーロー・トリプルファイブの一員になったのだ」と、陽に嘘をついていること。いずれは向き合わなければならないと知りながらも、その日が来るのを恐れていること。ポロポロとこぼれ落ちる俊平の想いに、蒼介も礼も、そして私たち視聴者も涙があふれるのを止めることができない。

 一緒に泣いて、一緒に笑うのが家族……。一朝一夕に家族になることは難しい。だが、誰にも頼ることができないと頑なになっていた部分を、シェアしてもいいのではないかという距離感をつかめたように見えた。まさに、これが第一歩だ。さらにそこへ、シンガーソングライターを志す横瀬めいく(岸井ゆきの)が息子・大地(三浦綺羅)もやってくる。3人の親、3人の子ども、そしてその間を繋ぎ温かく照らす、太陽のような1人の男が、これからどんな「家族」を築いていくのか非常に楽しみだ。

 誰もが孤軍奮闘する自己責任の時代。そしてコロナ禍によって、より人と人との距離が離れていく現代に挑む『#家族募集します』。名も知らない他人から、気兼ねなく頼みごとができるご近所さん、そして血の繋がらずとも絆で繋がることができる家族へ。その関係性の変化は、孤独の海を1人で泳いでいる気持ちになっているすべての頑張る現代人にとって、たどり着きたい夢の島のように映るだろう。

■放送情報
金曜ドラマ『#家族募集します』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:重岡大毅(ジャニーズWEST)、 木村文乃、仲野太賀、岸井ゆきの、佐藤遙灯、宮崎莉里沙、三浦綺羅、丸山礼
脚本:マギー
演出:福田亮介、村尾嘉昭
プロデューサー:佐久間晃嗣、岩崎愛奈、那須田淳
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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