重岡大毅の笑顔から滲み出る、演じることへの楽しさ 「いいひと系」の男の子の役柄に説得力

重岡大毅、「いいひと系」の役柄に説得力

 NHKの「ドラマ10」(金曜夜10時枠)で放送されている『これは経費で落ちません!』は石鹸会社の経理課を舞台にしたお仕事ドラマである。

 経理部所属の森若沙名子(多部未華子)は、経理処理の的確さに一目を置かれている。毎回、社員が持ってくる経費(領収書)の内訳をみては、おかしな点に気づき、数字の裏側にある意外な真実を掘り当ててしまう。物語はそんな森若たち経理課を中心に社内で起こる様々な問題を掘り下げていく。

 見どころは、すぐに領収書の名義や数字のおかしい所に気づいてしまう森若の分析力。「うさぎは追うな」と心の中で思っていても、気になることがあるとついつい調べてしまう彼女は自分以外の人間には興味がないように見えて、実は誰よりも他人に興味があるのかもしれない。さながら経理専門の名探偵だ。

 社内のルールを重んじて、ストイックに仕事をこなす森若の姿はハードボイルドそのもので、周囲から見ると無愛想でとっつきにくくて、ちょっとだけ変な彼女が活躍する社内ミステリードラマとして毎週楽しんでいる。

 もう一つの面白さはそんなクールでマイペースな森若が、恋愛感情に翻弄されていくラブコメパート。

 第一話、森若はパラダイスカフェの立ち上げという新規事業を担当する営業の山田太陽(重岡大毅)が内装設計のデザイナー・曽根崎ミレイ(藤原紀香)との取材費を恋人とのデートで私用に使っているのではないかと思い、山田のことを調べるのだが、その時の騒動をきっかけに、二人は急接近。森若の携帯電話のアドレスを聞いたり、仕事の後でご飯に誘ったりするようになる山田。気さくな笑顔で距離を詰めてくる山田に、自分のペースが崩されてイライラする森若。ぐいぐい来るわりには、どこか天然でつかみどころがない山田だが、彼女が精神的に参っている時は優しく側に寄り添ってくれる。

 第五話、夜の公園で泣いている森若を心配しながら「すいません。沙名子さん、一人になりたかったんすよね。でも無理っす。ほっとけないっす。一緒にいたいです」と言う山田。

 二人のやりとりは、年齢のわりには子供っぽく「小学生か!」とモヤモヤするが、むしろこの初々しいやりとりこそが、羨ましい。

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