『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』が米国で大ヒット 実は邦題の評価も高い?

『ワイスピ』邦題が海外で高評価

 『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』が国内オープニング興収として約7000万ドルを記録し、コロナ禍で公開された映画の中で最高の結果を出した。加えて7月4日の建国記念日には新作が2作(『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』、『Zola(原題)』)公開されたにもかかわらず1位をキープした状態で、現在の週末興収は2400万ドル。祝日である月曜までには3270万ドルへの到達が見込まれている。パンデミック以降、アメリカでは映画館などの閉鎖が余儀なくされ、コロナ禍以前に近いような正常な興行収入の状態に戻ったのはここ数週間のことだ。

 本作もまた、2020年公開予定の映画としてコロナ禍の大きな影響を受けた作品のひとつ。ユニバーサル・ピクチャーズは興行収入を得る最高の機会を考え早期に公開日程を2021年に延期。本国のアメリカに先駆け、すでに5月21日より中国、韓国、香港などの8地域で公開されていた。その海外オープニング興収は1億6240万ドル。特に本作の人気が高い中国では、海外オープニング興収の中で1億3500万ドルを叩き出している。ちなみに、これまでのシリーズの中では、2017年の『ワイルド・スピード ICE BREAK』の1億8400万ドルに次ぐ、2位の記録だ。

 各国で順調なスタートを切り、日本でも1カ月後に公開される『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』。実は、本国も日本の公開を心待ちにしている節がある。というのも、本作のシリーズの邦題は海外のファンから常に注目・高い評価を獲得しているからだ。

 The Hollywood Reporterは、これまでの日本のリリースタイトルを「かなり素晴らしい」と評価(参考:The Japanese Titles for the Fast & Furious Movies Are Incredible – The Hollywood Reporter)。『ジェット・ブレイク』に関しても、“爽やかで考えすぎない、アーケードのレーシングゲームのタイトルらしさがある”とし、『ワイルド・スピード EURO MISSION』は特にデイブ&バスターズ(アーケードセンター)でプレイしているのが容易に想像できると称した。中でも最高のタイトルは『Hobbs & Shaw(原題)』の『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』であり、確かにドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムがスーパーコンボだと評価した。

 The Hollywood Reporterの記者は「もちろん原題の『Fast & Furious』も素晴らしいタイトルだが、邦題は海外の映画のタイトル翻訳そのもののようだ」と語る。確かに、「速くて激烈」(The Fast and the Furious)という1作目のタイトルに始まり、続編の『2 Fast 2 Furious』も2とTooを掛けるなど原題は当然、英語的な文脈が強い。一方、邦題は3作目までタイトルをナンバリングしたことでシリーズ作品として繋がっていることを強調。4作目から5作目の『Fast & Furious』と『Fast Five』はタイトルだけ見ると(特に後者が)ワイスピ映画だとわかりづらい印象があるものの、邦題は『MAX』『MEGA MAX』と語尾に加えることで続編感を出し、そこまできた頃にはすっかりファンが定着した作品になった。そんな中、先述のThe Hollywood Reporterは邦題がどれだけ原題を改良していても、伝説的な『Tokyo Drift』には一切手を加えなかったことについて(ただし、X3とパンチを強くしている点)も高く評価している。日本でもしばし議論の的となる“邦題問題”。こういった本国からの激励は、これからの邦題の付け方にもヒントを与えてくれるのではないだろうか。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。InstagramTwitter

■公開情報
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』
8月6日(金)全国公開
監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、シャーリーズ・セロン、ジョーダナ・ブリュースターほか
配給:東宝東和
(c)2020 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved…
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