バージョン違い、一律料金、劇場限定BD販売 アニメが牽引する「映画」興行の新しいかたち

アニメが牽引する「映画」興行の新しいかたち

 先週末のランキングは異例尽くし。動員ランキングでは、前々週、前週はトップ10の圏外まで落ちていた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が、公開から14週目、9週間ぶりに首位を獲得。土日2日間で動員16万9000人、興収2億6600万円という成績をあげた。興行成績でそれを上回る成績をあげたのは、3位に初登場した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(6月14日発表のプレスリリースによると土日2日間で興行収入3億3065万6900円、オープニング3日間で興行収入5億2394万3800円)。先週末の映画館はエヴァとガンダム、謂わば老舗「ロボットアニメ」同士の対決となったわけだが、互いに動員と興行の首位を分け合ったかたちだ。

 「異例」というのは、既に大きな話題を呼んでいるように、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は公開から3ヶ月以上が経ったこのタイミング(6月12日から)で、シリーズ前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の前日譚が描かれたコミックや、庵野秀明の特別寄稿などが収録された100万部限定の冊子「EVA-EXTRA-EXTRA」の入場者プレゼントをスタートしたことだ。さらに、IMAX、4DX、MX4D、ドルビーシネマを除く通常上映の劇場では、細かなカットの差し替えを施した「EVANGELION:3.0+1.0」バージョンでの上映に切り替えもおこなわれるという念の入りよう。もし100万部の「EVA-EXTRA-EXTRA」をすべて配布しきることができれば、ちょうど念願の興収100億円超えも現実味を帯びてくる。

 一方、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の興収が高く出ているのは、すべての上映館で当日の鑑賞料が、年齢や上映の時間帯に関係なく一律1900円の特別料金となっているため。この一律料金は上映時間の短い『ガールズ&パンツァー』シリーズなどのアニメーション作品での前例はあるが、通常の上映時間(『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の上映時間は95分)の作品で、通常の大人料金と同じ(劇場チェーンによっては100円高い)に設定されているのは稀なケースだ。

 さらに、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、劇場限定で公開と同時に同作品のBlu-ray Discの販売(2枚組の「劇場限定版」と本編ディスクのみの「劇場先行通常版」)もおこなわれている。これも過去に『機動戦士ガンダムUC』シリーズのイベント上映や新海誠監督の『言の葉の庭』などの前例はあるが、ランキングで1位を争っている作品が、劇場に行けばソフトまで買えてしまうというのはなかなかのインパクトだ。人気アニメーション作品は、一定の公開日数が過ぎるとリピーター需要が大きな割合を占めることが多いが、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の「最終興収の数字よりも実をとる」この手法は、今後も追従する作品が増えてきそうだ。

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