“お父さん”といえば誰? 佐野史郎、平田満、酒向芳ら、父親役で主人公を見守る常連俳優陣

平田満、酒向芳……お父さん俳優といえば?

娘と三人の元夫とのやりとりが面白い、大豆田旺介(岩松了)

 『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)では、岩松了が主人公・とわ子(松たか子)の父親を演じている。とわ子の人間関係におけるおおらかさは父・旺介譲りなのかもしれないと思わせるほど、岩松演じる旺介はいい意味で適当だ。岩松が作り出す少しゆるい空気と間は、娘と三人の元夫との適度な距離感を感じさせ、また「花嫁の父っていうのはやればやるほど味が出る」「1人目はSuddenly、2人目はComedy、3人目はFantasy」「冬の便座は命を刻むよ」などのユニークな台詞とマッチしていて面白い。

衝撃の事実とともに明かされた娘に対する深い愛情、美神始(仲村トオル)

 5月30日放送の第8話で衝撃的な展開を見せた『ネメシス』(日本テレビ系)で仲村トオルが演じたのは、広瀬すず演じる“天才すぎる助手”・美神アンナの父・始。世界初の“ゲノム編集ベイビー”として生まれてきたアンナだが、始は「俺はこの秘密を一生守る。この子も……」とつぶやく。その表情は強い決意に満ちていた。一方、幼い頃のアンナと接する始の表情は穏やかで優しげだ。しかし仲村が見せたいずれの表情も、彼が父として、アンナを愛情かけて育ててきた事実が伝わってくる。

勤勉家で厳格だが、息子の生き方を優しく見守る渋沢市郎右衛門(小林薫)

 小林は大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で主人公・渋沢栄一(吉沢亮)の父・市郎右衛門を演じる。小林は、朝の連続テレビ小説『カーネーション』(NHK総合)でも、おっかないが愛情深い主人公の父親役を演じていた。小林演じる市郎右衛門は家業の研究に余念がなく、きわめて真面目な人物だが、破天荒だが商才のある栄一を誰よりも支援している。初めての江戸にはしゃぐ栄一を見守る姿や栄一が自ら藍葉の買い付けを行った際に「よくやった」と声をかけたときのしっかりとした声色が、息子への信頼を感じさせる。

家族に向けるあたたかな笑顔が印象的な万木平(時任三郎)

 最後に4月クールのドラマではないが、3月に最終回を迎えた『監察医 朝顔』(フジテレビ系)より、法医学者の主人公・朝顔(上野樹里)の父・平を演じた時任を紹介する。時任の気負わない演技によって、日常の何気ないやりとりの温かみを感じる。一方で、認知症の進行で記憶が曖昧になった平の言動には、胸を締め付けられるような切なさがあった。平が家族に向けるあたたかな笑顔からは、記憶を失いつつも家族の大切さを残し続けようとする平の願いが伝わってきた。

 それぞれ特徴的な父親像だが、どの父親も、それぞれ特有の距離感を保ちながら、主人公を見守っている。本記事では紹介しきれなかったが、魅力あふれる“お父さん”俳優は他にもたくさん存在する。今後のドラマでも、父親という役柄に注目したいところだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS



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