『おかえりモネ』清原果耶×蒔田彩珠、姉妹の繊細な芝居が光る 生々しい家族の空気感

清原果耶×蒔田彩珠、姉妹の繊細な芝居

 さらに銀行員の耕治が論理立てていく震災によるギリギリの家計の話。「未知の夢」というワードに未知は過敏に反応し、再び憤慨することとなる。「そうやって、りょーちんのお父さんにも船諦めさせたもんね! りょーちんのうち、あんなに大変だったのに!」といまだ癒えない耕治の心の傷をえぐりながら。

 百音(清原果耶)が吹く耕治が作った笛の音、さらに登米のはっと汁、反省した未知の「ごめんなさい」の一言で凍った空気はゆっくりと溶けていく。あれだけ大人しかった未知が自分の感情を爆発させる蒔田彩珠の演技がこの回の中心にあるのは間違いないが、一人で月を見上げ涙を流す清原果耶のラストにも驚かされた。未知との言い争いの中で、一人だけ蚊帳の外だった百音。自分の思いや考えを意見することもできない。また自分だけがそこにいなかった。まだ何者でもない惨めな思いが涙となって溢れてくる。清原果耶は言葉にせずともその表情で思いを伝えられる女優。そして、『おかえりモネ』は一瞬たりとも見逃すことのできない朝ドラだと改めて痛感する。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

※高田彪我の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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