『珈琲いかがでしょう』が伝えた“人はひとりじゃない” 中村倫也は黒目の大きさも変えられる

『珈琲いかがでしょう』が伝えたメッセージ

 「暴力珈琲」ではぼっちゃんの目を覚まさせるために体当たりで臨むシーンでは瞬時に青山の目の漆黒さが深みを増し鋭い光まで宿っていたが、もはや中村の域までいけば黒目の大きさまで変えてしまえるものなのか……と恐れ慄いた。その後の「ポップ珈琲」ではそんな青山の一面がスーッと溶け出ていくような、今の青山と矛盾なく融合していく“毒抜き”のような経過が見られたように思う。

 これまで珈琲の味がわからなかったぺいが青山の珈琲を口にして初めて思わず笑顔になる。それを訝しげに見つめ返した後に青山が言う「おい、たこジジイ、最高にポップじゃねぇか」のラストは、これまで悩める様々な人の人生を否定せずそっと後押しし続けてきた青山が、遂に初めて自分自身の人生を丸ごと肯定し、自分の背中を押した瞬間だったように思えてならない。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■配信情報
『珈琲いかがでしょう』
Paraviにて配信中
出演:中村倫也、夏帆、磯村勇斗、光石研ほか
第6話~:宮世琉弥、鶴見辰吾
第7話~:長野蒼大
第8話ゲスト:市毛良枝、宮野陽名、前田旺志郎、森迫永依
原作:コナリミサト『珈琲いかがでしょう』(マッグガーデン刊)
監督・脚本:荻上直子
監督:森義隆、小路紘史
音楽:HAKASE-SUN
オープニングテーマ:「エル・フエゴ(ザ・炎)」小沢健二(Virgin Music/UNIVERSAL MUSIC)
エンディングテーマ:「CHAIN」Nulbarich(ビクターエンタテインメント)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:合田知弘(テレビ東京)、森田昇(テレビ東京)、山田雅子(アスミック・エース)、平部隆明(ホリプロ)
制作:テレビ東京/アスミック・エース
制作協力:ホリプロ
製作著作:「珈琲いかがでしょう」製作委員会
(c)「珈琲いかがでしょう」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/coffee_ikaga/
公式Twitter:@tx_coffee
公式Instagram:tx_coffee_ikaga

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