『着飾る恋』にみる根底的な人と人との付き合い方 川口春奈演じる真柴らにも変化が
このドラマは、恋の始まりを予感させるドキドキと並行して、もっと根底的な人と人との付き合い方を丁寧に思い出させてくれる。逆を言えば、他者と生きていくことに遠慮しているうちは、恋が生まれにくいということなのかもしれない。
なかには「1人で生きていける」と武装してきたメンバーが、その鎧を一つずつ脱ぎ捨てていく姿に羨ましい気持ちを抱く人もいるだろう。頑張っている人ほど、強くあろうと着飾っている人ほど、「ビフォー(ありのまま)のほうがいい」と言ってくれる人がいてほしいと願っているものだ。
羽瀬が、意を決してトライした妊娠検査薬は陰性だった。「ホッとしたような、残念なような」という陽人の涙と共に溢れた言葉が温かい。この「残念」という言葉には、この先を共に歩んでいく覚悟を持っていたという表れ。その想像した大変な未来もまた悪くないと思えた希望の言葉のように聞こえた。
カウンセラーとして多くの癒やしテクニックを持つ陽人が、あれほど感情のままに言葉を発したのも、羽瀬のことを患者ではなく同居人(家族)と思っていればこそ。危機を乗り越える度に、誰もが素直さを取り戻していく。真柴が駿にハグを求められるようになったことも、また一つの変化。
とはいえ、まだまだ全てが解決したといえる状況ではない。オンとオフをつけて心に余裕を持ち、ようやく人と向き合う下ごしらえができたといったところだろうか。次回の予告映像を見ると、駿の本音はまだまだ読めずにやきもきするは、みんなを励ましてきた陽人が今度はピンチを迎えそうと、波乱の予感。そして、葉山の動きも気になるところだ。
それでもこのシェアハウスメンバーには、お互いにありのままでぶつかり合い、迷惑を掛け合い、巻き込まれ合いながらも、一緒に楽しく生きていく姿を見せてほしい。その姿こそが、混乱の社会を生き続けなければならない私たち自身の希望にも映るのだから。
■放送情報
火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:川口春奈、横浜流星、飯尾和樹、山下美月(乃木坂46)、 高橋文哉、赤ペン瀧川、丸山隆平、中村アン、向井理、夏川結衣
脚本:金子ありさ
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:松本友香、川島優子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
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