学園ドラマからヤンキーが消えた? 『ドラゴン桜』が象徴する“ワル”の変化

『ドラゴン桜』が象徴する“ワル”の変化

 名物弁護士・桜木建二(阿部寛)と東大を目指す生徒たちの奮闘が16年ぶりに見られる日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS系)の放送がスタートした。かつての教え子だった水野直美(長澤まさみ)が立派な弁護士に成長し再登場することに加えて、本作の要ともいえる生徒役にKing & Princeの高橋海人、元欅坂46の平手友梨奈らが抜擢されたことも胸の熱い展開となった。

 今回の物語は、桜木と水野が龍海学園を立て直そうと奔走するところから始まっている。第1話から不良生徒たちの余りに“イラつかせる”態度や、それぞれの生徒の抱える闇が垣間見える様子など、前作とはまた異なったアプローチでの生徒たちの描かれ方が話題を呼んだ。

 そして、一番顕著に違いが現れたのは、何といっても彼らの見た目。かつて2000年代の学園ドラマといえば、派手な髪色や盛り髪、奇抜なかたちの制服を着ているのが不良の定番だった。『ヤンキー母校に帰る』(TBS系)での市原隼人は金髪をツンツンと逆立てたスタイルにしていたし、『ドラゴン桜』(第1シリーズ、 TBS系)における山下智久も金髪で、ブレザーの丈は極端に短く逆にスラックスはダブつき気味。女子は、かなり明るい茶髪を派手に巻き、超ミニスカートに白の大き目サイズのカーデガンを合わせたスタイルの新垣結衣や紗栄子の姿が。また小池徹平に至ってはピンクのメッシュを入れている。この頃の小池は学園ドラマでやんちゃな生徒を演じる際に個性的なヘアアレンジをしていることが多く、『ごくせん』第2シリーズ(日本テレビ系)ではヘアピンをバッテンに交差し前髪を止め、後方の髪の毛を立てたライオンのようなヘアスタイルも披露。思えば2000年代には、学園ドラマの中だけでなく街中にもこんなファッションのギャル男やギャルがあふれていたものだ。

 しかし、ギャル文化の衰退と共に映像作品における高校生の描かれ方も変化。令和の『ドラゴン桜』における、かつての山下や新垣ポジションの生徒たちは全員黒髪で、男子は短髪、女子も巻き髪ではないスタンダードなスタイルになっている。現実での若者のトレンドから見ても、派手な髪色は社会への反抗心というよりはファッションの一環になってきている。さらにルーズソックスや極端に短いスカート、ギャルメイクなどはもはやYouTubeの企画ものやハロウィンの仮装という形でしか残っていない。

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