杉咲花、渦巻く感情を表現した圧巻の15分 『おちょやん』切なすぎる千代の微笑み

杉咲花、渦巻く感情を表現した圧巻の15分 『おちょやん』切なすぎる千代の微笑み

 最終話まで約1カ月を切ったところで、『おちょやん』(NHK総合)に心苦しい展開がやってきた。一平(成田凌)と灯子(小西はる)の不倫、そして千代(杉咲花)が2人を許そうとした矢先に発覚した灯子の妊娠。『おちょやん』第99話では、一平と千代が今後について冷静に話し合う。

 明日朝10時に稽古場で。そう約束した千代は化粧をし、笑顔で家を出る。しかし、時間通りに約束の場に現れたのは一平の伝言を伝えるためにやってきた熊田(西川忠志)。急用ができたさかい、家で待っといてくれ。その一平の急用が、誰にも告げず出て行こうとする灯子を止めるためだということを視聴者は知っている。だからこそ、熊田からの伝言を聞いて何もかも悟ったような千代の笑顔が苦しい。

 そして、さらに追い討ちをかけるように遅れて稽古場に来た一平が千代に告げた「俺と離縁してください」という言葉。自分が先に離婚届を出したのだから、と一つ返事で離婚を受け入れる千代がかつてテルヲ(トータス松本)に「うちがあんたらを捨てたんや」と言い放った幼き日の千代と重なる。二度も、千代は家族に裏切られるという経験を味わったのだ。

 寒い中、千代の帰りをじっと待つ寛治(前田旺志郎)だけが唯一の救い。寛治は、今も昔も自分が邪魔者だと言う千代に「おんなじやあれへん。今は僕がいてますやんか」と声をかけ、千代の代わりに一平の着物を床に投げつけながら「一平さんのドアホ!」と怒りを爆発させる。千代の弟・ヨシヲ(倉悠貴)から預かったビー玉を千代の元に渡すため、満州から帰って来た寛治。彼はやはり、ビー玉だけではなくヨシヲの生きていたら叶えたかった願いを受け継いでいたのだ。

 奉公に出される時、ヨシヲは千代の後を追いながら泣いていた。テルヲと栗子(宮澤エマ)が千代を体良く追っ払おうとする中、ただ一人、ヨシヲだけが千代を必要としていた。けれど、幼すぎた千代とヨシヲは2人だけで生きていくことは叶わず……。

 あの時の千代やヨシヲの悲しみが、寛治の言動で癒されていくような気がする。そして、一平が結婚する前、千代に舞台上でキスをしたことに対して「姉やんを傷もんにしてくれたな!」と一平を殴ったヨシヲのことも同時に思い出した。あの時は勘違いだったが、ヨシヲは前払いという形で姉やんの復讐を遂げたのかもしれない。そんなヨシヲといつか共に暮らしたいという千代の願いは、こんな形ではあるが寛治が叶えた。

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