『ネメシス』広瀬すず×櫻井翔がテンポの良い掛け合い トップギアの第1話で今後も期待大

『ネメシス』広瀬すず×櫻井翔の掛け合い

 広瀬すずが天才的な推理力を持つ“探偵助手”で、櫻井翔が“ポンコツ探偵”。このふたりの取り合わせといえば3年前に公開された『ラプラスの魔女』が思い浮かぶが、同じミステリーというジャンル上にありながらもまるで正反対なポップさが、日曜ドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)にはある。しかもそこに江口洋介が加わり、総監督には入江悠。そして毎回豪華なゲストキャストが集まってと、これはずいぶんユニークで贅沢なドラマになるにちがいない。

 ギリシャ神話の“復讐の女神”の名が用いられた理由については追い追い明らかになるのだろうか。それはさておき4月11日に放送された第1話は、主要登場人物たちの強いキャラクター性のインパクトを維持したまま、あっという間に事件が起こって解決するという情報量の多さに圧倒されるエピソードであった。リニューアルしたばかりの探偵事務所ネメシスに、大富豪の主治医を務める黄以子(大島優子)という女性が訪れる。“磯子のドンファン”こと澁澤(伊武雅刀)の誕生パーティーを中止しろという脅迫状の真相を探るため、会場に出向いた風真(櫻井翔)とアンナ(広瀬すず)。しかし翌日、澁澤は密室で殺害された状態で発見されるのである。

 自身を“天才探偵”だと宣いながらも早とちりを繰り返し、妙に格好をつけようとする風真と、突然ゾーンに入って推理をまとめあげながらも、あくまでも“助手”として風真に見せ場をすべて譲るアンナ。このアンバランスなふたりのテンポの良い掛け合いが、しっかりとドラマ全体のリズムを作り出していくわけだ。二転三転する容疑者たちの供述が重ねられていく事件の概要しかり、明らかになるトリックもきちんと作り込まれているにもかかわらず、それらはさらりと流れで見せる演出をしてしまうあたり、ミステリー性よりもキャラクター性を重視する作品なのだと判断できよう。

 たとえば今回のゲストキャラクターのひとりである黄以子は、自分が犯人に仕立てあげられるかもしれないというネガティブな妄想に囚われながら、ひとたび車のハンドルを握ればスピード狂に様変わり。そして探偵ドラマには欠かせない、探偵と対の関係となる警察キャラも、物語の舞台となる横浜を象徴する人気ドラマ『あぶない刑事』(日本テレビ系)のあのコンビの影響をもろに受けている出立ちをしているだけでなく、「横浜はみんな探偵を気取りやがる」と言ってのけてしまうシュールさ。日曜日の夜に観るドラマはこのぐらいポップでカロリーが低いのがふさわしい。

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