“技術”も求められる? 中井貴一、貫地谷しほり、風間俊介ら俳優によるナレーションの魅力

中井貴一ら俳優ナレーションの魅力

俳優・声優を極めた先にあるのがナレーション

 そして、『RIDE ON TIME』のナレーターを務める風間俊介。『RIDE ON TIME』シリーズは2018年にSeason1、今年1月〜3月にSeason3が放送された。ジャニーズ事務所に所属するアイドルたちの舞台裏に迫ったドキュメンタリーで、長期密着することでさらけ出されるアイドルの素顔が見られると人気の番組。Season3ではSnow ManやTravis Japan、そして電撃的な退所と解散で話題を集めたV6にも密着した。

 風間は、役者として活動するジャニーズアイドルの一人。『監察医 朝顔』(フジテレビ系)では、上野樹里が演じた朝顔の良き夫で刑事の桑原真也役を好演した。近年は日本テレビ系『ZIP!』の月曜メインパーソナリティーを務め、理路整然とした解説は並のアナウンサーやキャスターの上を行く。そうした冷静で利発的な風間の持ち味は、ドキュメンタリーのナレーションでも見事に発揮されている。『RIDE ON TIME』では同じジャニーズ事務所の所属であるという説得力を背景に、俯瞰的な視点を持ちながら、どこか仲間を見守るような目線も感じさせる。今や風間以外の適任者は考えられない。

 ほかにも、女優・上白石萌音は、コニカミノルタプラネタリウム“天空”in 東京スカイツリータウン「Gift of Light 〜星明りに包まれて〜」のナレーションや、「横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」の音声ガイドを担当。NHK連続テレビ小説『エール』のナレーターとして話題を集めた津田健次郎は、アニメ『はたらく細胞BLACK』、メルセデス・ベンツ「NEXT A- Class」のCMナレーションなど手がけている。声優・内田雄馬は、昨年9月末から『あさチャン!』(TBS系)のナレーションを担当し、ニュースを伝えるなど新天地を開拓している。

 ナレーターは、主人公などのキャラクターを表現するのではなく、あくまでも物語や番組全体、CMであれば商品を、声のトーンと口調、間合いなどで表現しなければならない。全身を使って役を表現する俳優とも、声に特化した演技を極める声優とも違う、また別の能力が必要とされるのがナレーターだ。ナレーターにベテランや大御所が多いのは、それだけ技術を必要とするからだろう。俳優や声優といった職業のさらにもっと先にあるのが、ナレーターという職業なのかもしれない。

■榑林史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

■放送情報
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
NHK総合にて、毎週火曜日22:30~放送
放送から1週間、NHKプラスにて見逃し配信
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/

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