舞台『INTERVIEW』は何度でも観たい Teamごとに印象が変わる俳優たちの熱演

舞台『INTERVIEW』は何度でも観たい Teamごとに印象が変わる俳優たちの熱演

 彼らの見え方が違うことで、姉のジョアンとの関係性も違って見えてくる。糸川演じるREDバージョンのときには、伊波演じるジョアンの弱さ、幼さが際立って見え、マッドとふたりの悲しくもピュアで無垢な物語に見えるのに対して、小野塚演じるBLUEバージョンのときには、マッドと山口演じるジョアン、そしてその家族の関係性からは、歪さやそうとしか生きられない悲しみが強く伝わってきた。

 Team REDのメンバーはTeam BLUEのバージョンのことを大人っぽいと言っていたが、少し大人びて見えるマットとジョアンから関係性の歪さ、罪深さが感じられた。BLUEのバージョンを観て、韓国映画の『オールド・ボーイ』を思い浮かべていた。

 マットとジョアンの過去を見つめるユジン・キムもまったく違う心情が見える。松本演じるユジンは、とにかくマッドの謎を突き止めるまでは話さないぞという熱い正義感と執念があり、それに対して糸川が全力で応えているように見えた。丘山演じるユジンは、マットが周囲の人間から追い詰められたことに悲劇のはじまりがあると考え、マッドに寄り添っているように思えた。ユジンが強く追い詰めるからこそ、マットの純粋さが見え、ユジンが寄り添うからこそマットの罪が見えるというのも、俳優の解釈により、化学反応に違いが生まれるという醍醐味だろう。

 この作品は、一度目と二度目で見えるものも違うところがあるし、REDとBLUEというキャストの違いでも見えるものが違うミュージカルだ。難解なところもあるが、その難解さが、観客に観た後にもさまざまなことを想像させるエンターテインメントにもなっている。複雑なメロディに重ねられた日本語歌詞も素晴らしいし、何より、この作品を演じた俳優たちの経験は何事にも代えがたいだろう。今回に限らず、さまざまなキャストで日本語バージョンの上演を重ねていってほしいと思えた。

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■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公演情報
ミュージカル『INTERVIEW ~お願い、誰か僕を助けて~』
3月24日(水)~4月4日(日)、品川プリンスホテル クラブeXにて上演
出演:
Team RED
・ユジン・キム役:松本利夫(EXILE)
・マット・シニア役:糸川耀士郎
・ジョアン・シニア役:伊波杏樹

Team BLUE
・ユジン・キム役:丘山晴己
・マット・シニア役:小野塚勇人(劇団EXILE)
・ジョアン・シニア役:山口乃々華

原作:チュ・ジョンファ
作曲:ホ・スヒョン
日本語台詞:田尾下哲
日本語訳詞:安田佑子
演出:田尾下哲
音楽監督:宮崎誠
企画・制作:LDH JAPAN/東京音協
主催:『ミュージカル INTERVIEW』製作委員会
公式サイト:http://kmusical-interview-japan.com
公式Twitter:https://twitter.com/INTERVIEW_0324

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