ムロツヨシの“知らない”を楽しむ旅 『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』の魅力

ムロツヨシの“知らない”を楽しむ旅 『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』の魅力

 ムロツヨシが、全然知らない街を練り歩く。そんな連続ドラマが3月28日よりスタートした。その名も『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』(フジテレビ系)。

 原作は、清野とおるによる同名漫画。赤羽在住の漫画家・セイノ(ムロツヨシ)は、ある日突然、自分の知らない街がたくさんあるということに気づく。知らない街は、自分が知らないだけで、様々な人がいて、色々な物語があるはず。もちろん、知らなければならない理由はないが、それを知らないまま「なんか、嫌だー!」と、縁もゆかりもない土地に足を運ぶ冒険をスタートさせるのだった。

 セイノが降り立つのは、実在する街。初回は、赤羽から3駅目の上中里駅からだ。登場人物は、実際に暮らす人たちをモデルに、個性豊かな俳優たちが演じていく。「今のはアドリブ?」「にやけちゃってない?」と思わずにはいられない、やりとりの絶妙な間やリアクションも楽しい。

 セイノが訪れた街の人は、口ぐちに「何にもないよ」と言う。たしかに住宅地が広がる街は、あえてオススメする観光スポットはめったにない。「おいしいところはどこ?」とたずねられたら、全国チェーン店を展開するファミリーレストランをオススメされる。

 たしかに、確立されたメニューと管理が行き届いたサービスクオリティが保証されている。だが、違うのだ。それではもう「知ってる風景」になってしまう。セイノは「知らない街」を知ろうと冒険に出ているのだから。そこに足を踏み入れるのはご法度だ。

 何もなければ、何かが見つかるまで歩くのみ。忙しく通勤する人たちはきっと見向きもしないれあろう、石碑もチェック。難しくて読めない……それでもめげない。スマホは開かない。1人でもフラッと入りやすそうなお店ではなく、あえて“一見さんお断り”なローカルなお店のドアを叩く。不思議な光景があれば、街の人に聞く。どこまでもアナログな旅。

 そんなセイノの姿を見ていると、いつしか私たちが言う「旅」はガイドブックやネット上で見聞きした「知ってる」情報を確認しに行くことが目的になってしまっていたかもしれないと思えてくる。最短ルートを検索し、知ってる道のりを進み、知ってる時間に到着する。もちろん、その旅は間違いがない。なぜならその満足した自分さえも計画のうち、つまり「知ってる」のだ。

 だが、ときにはこんなセイノのように「知らない」を楽しむ旅があってもいいではないか。知らない街に降り立ち、知らない人が営む店の、知らない味に舌鼓を打つ。もちろん、その旅がどんな結末を迎えるのかは、誰も知らない。もしかしたら、好奇心を刺激されるものは何も見つからないで終わるかもしれない。でも、それもまた新しく知ったこと。その街に降り立たなければ、その発見さえもないのだから。

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