『おちょやん』杉咲花×成田凌、“親”として伝えた愛の形 寛治の笑顔の仮面が剥がれる

杉咲花×成田凌、“親”として伝えた愛の形

 そして、年明けに幕を開けた舞台には千代たちと肩を並べる寛治の姿があった。演目は一平が、ソ連に亡命した百合子(井川遥)と小暮(若葉竜也)への餞に作った「人生双六」。人生のどん底にいる男2人が5年後の成功を約束し、別れるという物語だ。

「これまで辛いことばっかだったかもわかれへん。でもいつかきっと、心の底から笑える日がくる」

 それは百合子と小暮だけではなく、寛治にも向けられた言葉だろう。どんな不遇に見舞われても、人生を諦めず生きていってほしい。双六のように進んでは戻って、進んでは戻って。それでもきっと、その先で千代や一平のように「色々あったなあ」と笑える日が来るから。そんなメッセージを「人生双六」は観客に伝えた。

 しかし、時代は戦争へと突入していく。昭和16年12月、太平洋戦争が開戦。日本が優勢だと伝えられていた国民は手放しで喜ぶが、平和に暮らしていた千代たちの元にも暗い影が少しずつ差し込んでいた。

 前作の朝ドラ『エール』は踏み込んだ戦争描写で痛ましい現実を伝えたことで話題になった。『おちょやん』はどんな形で戦争を描くのか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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