『おちょやん』杉咲花×成田凌、“親”として伝えた愛の形 寛治の笑顔の仮面が剥がれる

杉咲花×成田凌、“親”として伝えた愛の形

 鶴亀の大山社長(中村鴈治郎)にお願いされ、身寄りのない寛治(前田旺志郎)を預かることになった千代(杉咲花)と一平(成田凌)。子供のいなかった天海家は天真爛漫な寛治が来たことによってさらに賑やかになるが、その笑顔の裏で寛治はおつかいのお釣りをくすねたり、家庭劇の大切な準備金をこっそり盗んでいたことが発覚する。

 実は、寛治は自分を見捨てた父親を恨んでおり、千代たちと同じように家族の温かさを知らないまま成長した子供だった。『おちょやん』(NHK総合)第80回では、千代と一平が寛治に自分たちの過去を明かす。

 千代は幼くして母親を亡くし、ロクに働かずお酒と博打明け暮れる父親に苦労をかけられたこと。半ば追い出される形で奉公先の岡安で働き始めたが、明るい道頓堀の人たちに助けられ、テルヲが積み重ねた借金の取り立てから逃げるように行った京都でも大切な人たちに出会ったこと。再会した弟と生き別れになるも一平と家庭を築き、ずっと恨んでいた死に際の父親を最後に少し許すことができたこと。

 一平も母親が他所に男を作り出て行き、父親を早くに亡くしたこと。どこにでもいるような人たちが楽しめる芝居を届けるために家庭劇を立ち上げたこと……。それらは千代と一平が歩んできた山あり谷ありの人生だ。泣き笑い、悩み苦しみながらも、周りの人たちに支えられて2人はここまで生きてきた。

 2人は寛治に一緒に暮らすことを提案する。どんなに逆立ちしても本当の親にはなれないが、千代は寛治のことが心配でたまらないという。それはかつて家庭劇でやった「マットン婆さん」のテーマだった“母の無償の愛”、千代と一平が出会ってきた数々の人たちから受けてきた愛情だ。今度はみんなに教えられた温かさを誰かに届ける番ーー。笑顔の仮面で悲しみを隠してきた寛治を千代と一平は優しく抱きしめる。血は繋がっていなくとも、寄り添い合う3人は誰の目にも家族の姿に見えるだろう。

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