かもめんたる 岩崎う大、脚本づくりは“悲劇”の空想から? 「決して飽きられないように」
「芸人になるか、ならないかの選択」
――演者という意味では、ワンシチュエーションでの芝居はいかがでしたか?
岩崎:それが、なかなかセリフが覚えられなくて(苦笑)。とくに『ユニットバスの2人』は、同じ場所で、押し問答で同じようなことを言っていくお話だったので、言葉が出てこない時がありました。難しかったんですけど、ロケーションが本当に密室だし、狭いし、外は夜で。“世界のちっちゃいところで繰り広げる、2人の人生における最悪な夜”という雰囲気は、自然とあの空間が後押ししてくれたと思います。
――共演された細田さんの印象は?
岩崎:すごくアイデアの豊富な人だなって思いました。僕は脚本家でもあるので、「こんな感じでどうですかね?」とか、たくさん聞いてくれて。素直にいろいろと受け入れてくださって、助かりました。
――そうだったんですね。ちなみに第3話にはご出演もされていて、第5話『切れない電話』は脚本のみのご担当。作品の見方は違ってくるものですか?
岩崎:やっぱり全然違います(笑)。自分が演じていると、話がよりわかっちゃっているっていうのもあるし、「ここはもっとこう演じたほうがよかったかな」とかも出てきちゃうから。だいぶ客観性がないですよね(笑)。でも自分が出ていなければ、わりと客観的に観られると思います。
――そんな第5話には、泉澤祐希さん、岩松了さん、夏子さんが出演されています。
岩崎:岩松さんはオーラがあるというか、マスターとして何かこだわりがありそうで、ちょっとお節介でもある役を上手に演じてくださいました。泉澤さんは、夏子さんが演じたような“クレイジーガール”を引き寄せちゃう男子。その雰囲気がすごく出ていて、とてもよかったですね。脚本を書いている時には、あまり画として浮かんでいなかったんですけど、岩松さんと泉澤さんっていうビジュアルも含めて全然違う2人が、ひとつのミッションのために、まさに一肌脱ぐっていう(笑)。本当にグッドキャスティングでした。あれが2人ともわざとらしくなったりすると、いかにもコメディみたいな感じになっちゃう。そうなっていなかったところがすごく良くて、ありがたかったですね。
――想像よりも、より良い作品に仕上がったと。
岩崎:そうですね。とくに怒濤の後半シーンはよかったです。「配信とはいえ、なんでもありじゃないんです」ということで、「一度、直してほしい。表現を抑えてください」とも言われたんですけど、観たら「結構きわどいじゃん」って(笑)。「あれ? 俺どこを抑えたんだっけ?」と思うくらいちゃんと表現されていて、これはいいぞと思いましたね。
――地上波では見られないですよね(笑)。
岩崎:そうなんです。まさに最初の打ち合わせで「普通のテレビドラマでは見られないような、エッジの利いた作品にしましょう」と話していたことが実現できたし、だからこそ、僕が呼ばれたんだなと思いました。
――配信後の反響も楽しみですね。
岩崎:いい仕事ができたと思うので、僕としては「代表作です」って言いたいんですけどね。あんまり反響がなかったらそれも言えないので(笑)。でも、絶対におもしろいと思っています。
――今作では、究極の選択が描かれています。岩崎さんご自身が経験された、究極の選択は?
岩崎:芸人になるか、ならないかの選択ですかね。正直、自分の中ではそこまで究極の選択とは思っていないんですけど、人から見るとそう見えると思うので、やっぱり究極の選択だったのかな。大学でお笑いサークルに入ったんですけど、それ以前から芸人になりたかったんです。でも、それを親に話したら「あなたは大学受験の勉強がしたくないから、逃れるために言ってるだけだ」って。夢を辞めろとは言わないけど、ただ逃げてるだけだ、と。「大学に受かったら、やってもいいよ」と言われたので、大学に行ってお笑いサークルに入ったんです。それから、3年生の時に吉本の養成所に行ったりもして……でも冷静に考えてみたら、究極の選択をしないで、ただやってるだけかもしれないです(笑)。辞めるっていう決断をしないまま、ここまで来ているだけなので。あとは僕、できちゃった結婚なんですけど、29歳のまったく売れていない時に長男ができたんです。その時に産むっていう決断をしたことは、究極の選択かもしれないですね。って、本当はもうちょっと気の利いたことを言いたいんですけど(笑)。
――最後は“究極の選択をする上で大切にしていること”をうかがって、かっこ良く締めようと思っていたのですが、「選択していない」と言われてしまいました(笑)。
岩崎:そうなっちゃいましたよね(笑)。ただ、こうかもしれないですよ? お笑い芸人になるっていうのは究極の選択をしたように思われるけど、実は選択をしないまま辿り着いている。だから、選択自体を大きなものとして捉えないこと。たとえ“AかBかで100万円もらえるかどうか”の選択があったとしても、100万円もらえなかった人生は、100万円もらっていたら経験できないわけですから。選択なんてものは、結局まやかしなんですよ(笑)。
■配信情報
Hulu オリジナル『THE LIMIT』
Huluで毎週金曜、新エピソード独占配信中(全6話)
※通常配信に加え、4K UHD/HDR/5.1chサラウンドでも配信
<出演>
第1話「ネコと井戸」:伊藤沙莉、堺小春、坂東龍汰
第2話「タクシーの女」:門脇⻨、古川琴音
第3話「ユニットバスの2人」:細田善彦、岩崎う大(かもめんたる)
第4話「ベランダ男」:岡山天音
第5話「切れない電話」:泉澤祐希、岩松了、夏子
第6話「高速夜行バス」:浅香航大、木野花
脚本:玉田真也、岩崎う大、荻上直子
エグゼクティブプロデューサー:長澤一史
チーフプロデューサー:茶ノ前香
プロデューサー:中村好佑、小室秀一
企画:三浦光博、塚田雅人、賀内健太郎
監督:賀内健太郎、吉田真也、中嶋駿介
制作プロダクション:博報堂プロダクツ
製作著作:HJホールディングス
公式サイト:https://www.hulu.jp/static/thelimit/
▼岩崎う大 チェキプレゼント▼
岩崎う大のチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下のとおり。
【応募方法】
リアルサウンド映画部の公式Twitterフォロー&該当ツイートをRTいただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンド映画部の公式TwitterアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※複数のお申し込みが発覚した場合、ご応募は無効とさせていただく場合がございます。
※営利目的の転売は固くお断りいたします。発見した場合は然るべき対応をとらせていただきます。
<リアルサウンド映画部 公式Twitter>
https://twitter.com/realsound_m
<応募締切>
4月2日(金)