『俺の家の話』戸田恵梨香の女子力スイッチがON ついに気持ちを確かめ合った寿一とさくら

『俺の家の話』戸田恵梨香の女子力スイッチ

 『俺の家の話』(TBS系)の第7話を観て、「女としては、すぐ入るからね、スイッチ!」というセリフを思い出した。同じ宮藤官九郎が書いた連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)の終盤、種市先輩(福士蒼汰)の彼女だと胸を張れないアキ(のん)に、アキの親友であり種市の元カノであるユイ(橋本愛)がそう言って脅す。ユイは全国区でも通じる美貌の持ち主。その彼女が本気を出したら、どんな男も落ちてしまいそうだと、アキが怖がる様子がおかしかった。『俺の家の話』でも戸田恵梨香演じるさくらが本格的に恋愛モードに突入。キラキラした瞳で主人公の寿一(長瀬智也)を見つめる様子がかわいすぎた。そうか、これがクドカンドラマにおける女のスイッチがONになった状態かと納得した。

 介護ヘルパーとして観山家に通い、一家の主・寿三郎(西田敏行)の世話をするさくらは、第5話でその長男である寿一に「好き」と告白。第6話で観山家の面々が家族旅行に行っている間、自分の気持ちに戸惑い、ひとり悶々としていた。そのとき「お金持ちとしかつきあったことなかったのに、力(ちから)持ちを好きになってしまうなんて」とつぶやいたさくら。寿一のことを「筋肉バカ」で「力と不動産しか持っていない」と客観的に見ようとしたが、募る気持ちを抑えきれず、旅行先まで追いかけていった。そう言うからには、本当にこれが打算抜きの初めての恋なのかもしれない。

 第7話で、さくらは寿一に告白の返事を求める。「寿一さん、私のプロポーズに応えていない」と言うさくら。「好き」とは言っていたが、あれはプロポーズだったのか! という私たち視聴者の驚きをよそに、さくらの攻勢は止まらない。寿一のプロレスの後輩・プリティ原(井之脇海)が観山家にやってきて、父の寿三郎も弟の踊介(永山絢斗)もさくらを好きだというややこしい家庭内四角関係を知らずに「(寿一とさくらは)付き合っているんですか?」と聞く。慌てる寿一に対し、さくらは「なんでなんで、なんでそう思ったの?」と目を輝かせ、寿一に恋人として紹介してもらえるのかと期待。そのキラキラオーラに寿一もタジタジで、ためらうが、結局「さくらさんは、親父の婚約者だ」と言ってしまい、さくらはがっかりしていた。

 番組公式サイトの戸田恵梨香インタビューによると、さくら役については「監督が頭に描くさくら像が結構フェミニンな感じで。宮藤さんの脚本には“地味な女”とト書きに書かれているんですが、存在が地味というか、すぐに周りに馴染んじゃう存在」と捉えているようだ(引用:インタビュー|TBSテレビ:金曜ドラマ『俺の家の話』)。たしかに、さくらはいつも介護ヘルパーのユニフォーム姿で、時折、ワンピースや着物を着ている場面もあるものの、登場シーンの8割で地味。しかし、今はだいぶフェミニンに寄っているようだ。

 また戸田は、さくらを演じるうえで「多重人格に見えないように気を付けています」とも語っている。序盤、後妻業の女ではないかと疑われていたときのさくらは、寿三郎の弟子たちの前で婚約者だと紹介され彼の膝に座ってイチャイチャするなどしていたが、そのときのわざとらしい感じと、寿一に恋してからの乙女モードはまるで別人のよう。しかし、ここに至るまでの戸田の演技で、さくらは毒親の下で育った現実主義者であり、必ずしも遺産目当てではなく、介護についてはプロフェッショナルであるところも伝わってきたので、その変化を違和感なく受け入れられたのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる