『青のSP』香里を殺した犯人が明らかに ブラック部活に潜む真の暴力

『青のSP』香里を殺した犯人が明らかに

 『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(カンテレ・フジテレビ系)第8話では、ついに香里(明日海りお)を殺した犯人が明らかになった。香里と涼子(真木よう子)の会話を盗聴し音声データを隆平(藤原竜也)に送った人間と、香里の自転車のブレーキを切った人間は同一人物で、背後には香里を快く思わない黒幕の存在があった(以下、ネタバレを含む)。

 第8話のテーマはブラック部活。野球部のピッチャー・矢島(長島令玖)が試合中に頭部に打球を受けて病院へ搬送される。投球時に目にレーザーを当てられ、よけるのが遅れたためだった。顧問の阿部(音尾琢真)は部員たちに休みなく練習をさせており、文科省の規定に違反していた。阿部に恨みを持つ人間を調べていくと、3年の坂木(山時聡真)が部活の帰りに熱中症で倒れ、交通事故に遭っていたことがわかる。実は、香里も坂木の見舞いに行っていた。

 見るからに体育会系な阿部を見て、ハラスメントを早合点してしまった人(筆者)は反省する必要がある。「気合や根性を否定しない」阿部に対して隆平も体罰を疑うが、阿部に恨みを持っている生徒はゼロ。「めっちゃ良い先生。殴ったりとかも全然しない」、「進路相談もめちゃくちゃ真面目に乗ってくれる」。人は見た目ではわからないという当たり前の事実を改めて突きつけられた。

 香里の死の真相を追う隆平。これまでにもいくつか手がかりはあった。幽霊の話をする英里(長澤樹)、退職した美術部教師の岡部(遠藤雄弥)が起こした涌井美月(米倉れいあ)への暴行事件、涼子と香里の口論。どれも、隆平が赴任するまでは過去の記憶として葬られていたものだ。しかし、その中に決定的な証拠はなく、点と点がつながったのは、坂木の証言で野球部のOB黒石(桜木那智)の仲間である松田宏太(水沢林太郎)が浮上した時だった。

 ブラック部活と坂木の事故を引き起こしたのは、根性論でもプロになれなかった未練でもなく、理不尽な上下関係と同調圧力だった。本当に闇が深いのは権威や肩書きを持った人間ではなく、日常的な付き合いから生じる抗いようのない関係であり、それを強要したのが未成年であることに問題の難しさを感じた。法やルールが及ばない関係にこそ真の暴力が潜むという図式は、より本質的なものだ。

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