韓国でも悪霊祓いがブーム? 『呪術廻戦』とも繋がる『悪霊狩猟団:カウンターズ』の魅力

『悪霊狩猟団:カウンターズ』の魅力

 今年の1月31日よりNetflixで配信された、韓国ドラマ『悪霊狩猟団:カウンターズ』。配信後は、Netflixオリジナル(人気テレビ番組10位内にランクインする人気を誇る)新作となった。日本では『呪術廻戦』が爆発的人気を誇る中、今多い「悪霊を祓う」系統の作品と並べて、『悪霊狩猟団:カウンターズ』にはどんな特徴があるのかを探る。

悪を成敗する痛快アクションと、誰もがヒーローという世界観

 『悪霊狩猟団:カウンターズ』は、もともとウェブトゥーン(デジタルウェブ漫画)から始まり、ドラマ化された。日本でもヒットした『梨泰院クラス』や『Sweet Home -俺と世界の絶望-』もウェブトゥーンが原作だ。途中、脚本家が変わってしまう予期せぬ事態が起こったが、最終話で韓国ケーブルテレビOCNの歴代ドラマ最高視聴率10.9%を記録した。シーズン2も決定し、韓国でいかに反響を呼んだ作品なのかがうかがえる。

 高校3年生のソ・ムン(チョ・ビョンギュ)は7年前に交通事故で両親を亡くし、祖父母のもとで育った。自分も同じ事故で右足を負傷し不自由な生活の中で、周りからぞんざいに扱われながらも、2人の親友に守られ、なんとか明るく生きていた。

 そんなある日、ソ・ムンの体にあの世の魂が入ったことにより、カウンターの一員となる。カウンターは特殊能力や卓越した身体能力を持って、人間に取り付いた悪霊と戦い、その悪霊を追い出すことが役目だ。悪霊を退治しながら、まさに驚異的なカウンターとして成長していくソ・ムン。回を追うごとに逞くなっていく彼を応援せずにはいられないのが、最終回まで一気に観てしまう理由のひとつと言える。

 ちなみに『悪霊狩猟団:カウンターズ』の原題の意味は、『驚異的な噂』である。噂は韓国語で「ソムン」といい、主人公のソ・ムンが驚異的に強くなり、成長していく様を題名にかけている。これを知ると、ほんの少し作品の理解が深まるかもしれない。

 実は、この基本的な設定において『呪術廻戦』との共通点がとても多い。『呪術廻戦』の主人公、虎杖悠仁もまた両親を亡くし、祖父に育てられた青年だ。そしてある日呪霊に出くわし、それを倒すために呪術師になる。そして彼の成長、彼の同級生をはじめとする周囲のキャラクターのそれぞれのエピソードが魅力的だ。

 夜な夜な悪霊と戦う正義の味方、カウンターたちを主人公においたこの作品は、悪霊を退治するファンタジー、成長と絆を描いたヒューマニズム、悪霊と戦うアクションが楽しめる。このようなストーリーの魅力を描いた“わかりやすさ”と、悪を成敗し“スカッとさせてくれる”カウンターたちの姿が人気の鍵のようだ。この点も、『呪術廻戦』に共通する魅力である。

 しかしそれに加え『悪霊狩猟団:カウンターズ』では、悪霊を通して家庭内暴力、いじめ、権力者たちの欲にまみれた政治は、私たちと隣り合わせにある問題が如実に描かれている。弱い者が標的になり、悪が正義に変えられ、間違っていることを正しいと言えない社会にいる我々視聴者たちにとって、その悪に立ち向い戦うカウンターたちの姿はじつに痛快だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「海外ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる