韓国でも悪霊祓いがブーム? 『呪術廻戦』とも繋がる『悪霊狩猟団:カウンターズ』の魅力
もちろん、カウンターとして一緒に戦う3人のキャラクターも作品の要である。普段はククス店(韓国料理の麺屋)を営む彼らもまた、怪力、治癒、サイコメトリーといった特殊能力を持ったカウンターだ。主人公はソ・ムンではあるが、それぞれの成長が丁寧に描かれているため、一人ひとりの物語に集中することができる。
カウンターズの成長物語の裏には、深いトラウマが隠されている。ソ・ムンは両親が事故で亡くなったのは自分のせいだと今までずっと自責の念に駆られ、カ・モタク(ユ・ジュンサン)は自分の過去が思い出せずにいた。ト・ハナ(キム・セジョン)は家族が無理心中し、生き残ったのが自分だけという過去を誰にも話せず、チュ・メオク(オム・ヘラン)もまた愛する息子を亡くし、自分が生き残ってしまう哀れな母親である。
悪霊だけでなく自分自身とも戦い、トラウマを克服していく4人は、それぞれが主役でありヒーローのようだ。「誰もがみんなヒーロー」であることは作品として斬新さがあり、個々を尊重しようという時代に乗りやすかったようにもみえる。
さらに、彼らがチームプレイで敵を倒し、絆を深めるシーンは何度観ても胸を熱くさせられる。いつの間にか家族のようになっていく仲間たちをみていると、それもまた心地が良い。これからの時代を生き抜くためには、個々のレベルをあげ、協働していくことの重要性をカウンターズが教えてくれる。
『悪霊狩猟団:カウンターズ』や『呪術廻戦』で悪霊や呪いと戦う内容の作品が人気上昇した理由として、世界中の誰もが、見えないものと戦わなければならなくなった背景があるように思う。その「戦わなければならないもの」を抱えながらも、乗り越えて明るい未来にしたいという希望が、作品と繋がったのだろう。カウンターたちは、私たちが前向きになれるよう、応援してくれるスーパーヒーローなのかもしれない。
■ヨシン
韓国作品中心に愛を叫ぶ。一日三膳三ドラマをモットーに、毎日作品に触れる。ソウルフードはトッポッキ。ヨシンは韓国語で「女神」のことです。悪しからず。Twitter
■配信情報
『悪霊狩猟団:カウンターズ』
Netflixにて配信中