『天国と地獄』最重要人物の存在が明らかに キーワード“クウシュウゴウ”を考察

『天国と地獄』最重要人物の存在が明らかに

ひとまず、八巻は無事に生き残りそう!?

 ここからは、少し予想も含みながらこれまでの情報を整理していきたい。一ノ瀬正造=1(一の“イチ”)、田所仁志=2(仁の“二”)、四方忠良=4(四の“シ”)、久米正彦=9(久の“キュウ”)……漫画『真夜中の掃除人』通りに殺人が行なわれるのだとしたら、被害者候補はミスターXによって法で裁けない悪者たちと見なされたリスト内の人々、つまりリスト外の一般人である八巻や河原三雄はその候補にはなりえないのではないかと考えられる。その点は、ひとまず安心できるのではないか。というか、そうあってほしいと願う。

 そして、日高への指令が数字で出されることが前提となっているのなら、リストにあった他の候補者たちも数字に当てはめられるはず。だが、大山美里=3(山の“サン”?)、藤島悟=5(悟の中にある“ゴ”?)、宍戸直樹=6(宍の中にある“ロク”?)、志知由美子=7(志知の“シチ”?)、柳楽健一=8(柳楽の“ヤ”?) or 1(健一の“イチ”?)、戸塚豊=10(戸の“ト”)、市川学=1(市の“イチ”?) or 1000(川の“セン”?)と、どうも曖昧さが目立つ。果たしてミスターXはリストにあるすべての人を手に掛けようとしていたのだろうか。そもそもミスターX(エックス)なのか、ミスターⅩ(じゅう)なのかもまたハッキリしていない。そんな中、新たな殺人事件が起こる。今度の被害者は誰なのか。

やはり日高は以前にも入れ替わりを経験している!?

 そして、これまでも複数回の入れ替わり説が囁かれてきた日高。特に、手慣れた様子でメイクをしたり、ヒールで歩く姿から「女性だったのではないか」という声も根強い。また例の呼び出しの手紙が「まるでラブレターのようだった」という陸の感想によって、差出人は女の子ではないかと予想して、日高はその女の子との入れ替わりを果たしているのではないか、という見立ても。しかし今回、日高の秘書・樹里(中村ゆり)と妹・優菜(岸井ゆきの)によって、ノートの切れ端に書く手紙は女の子からのラブレターではないのでは、と一蹴されてしまった。あの手紙の差出人を女子からだと断定するのは、まだ気が早そうだ。

 そもそも、なぜ犯人は「クウシュウゴウ」という名にこだわり、「∅」の記号をわざわざ現場に残しているのだろうか。クウシュウゴウ=空集合とは「属する要素が一つも無い集合」を意味する。一体、何に「属していない」のか。社会か、それともこの世そのものか。魂の入れ替わりが起こった世界で、殺人鬼の魂だけがそこにあるとしても不思議ではない。しかし、わざわざ警察に存在感を示す意味は何なのか。その強烈な動機を私たちは知らない。日高が犯人に何かを握られて殺人の片棒を担いでいるとするのなら、日高にとってよほど大切な何かであるに違いない。

 そして、ふと陸が日高に「自分で殺して、自分で逮捕するマッチポンプ的なことをしているのかなって」と話していたことを思い出す。もしかしたら、日高が以前に入れ替わりをしていたか、もしくは何者かの魂を取り入れて“2人のサイコ”を所有している状況なのかはわからないが、本来の自分に戻りたいと願っているのだとしたら。その方法を知るために、犯人を歩道橋で待ち続け、出される指令に応えてでも会おうとしていたのだとしたら……。

 もしかしたら太陽(日高陽斗)として明るい人生を歩むはずだったのに、新月(真夜中の掃除人)にされてしまった日高が、太陽の光を受けて輝く満月(望月彩子)と共に、本当の新月(東朔也)と対峙する物語……になってほしい、というのはただのいちファンの妄想だ。だって、私たち視聴者は、もうすっかり日高と彩子の2人に親近感を持ってしまっていて、日高にも彩子の身体にもこれ以上人を殺してほしくはないのだから。

■放送情報
日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』
TBS系にて、 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝
脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
製作著作:TBS
(c)TBS

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