『ヲタクに恋は難しい』原作をどうアレンジ? 山崎賢人×高畑充希らの歌唱シーンに注目

『ヲタクに恋は難しい』原作をどうアレンジ?

 また、注目ポイントも盛りだくさん。1つは作中に出てくるアニメ、漫画、ゲームなどの実在する作品の豊富さ。本作にはコスプレイヤーがたくさん登場するが、出演者が挑戦した『Fate/Grand Order』マシュ・キリエライト、『刀剣乱舞』燭台切光忠のコスプレなどはどれも本格的だ。美術担当のスタッフが腐女子にリサーチを重ねて作り上げたという成海のヲタク部屋は『あんさんぶるスターズ!』『文豪ストレイドッグス』『Beat!』といった人気作品のグッズに溢れているだけではなく、キャラクターの身長の高さに合わせて壁にマスキングテープを貼っていたり、いつでも人が訪ねてきてもいいようにグッズを隠せる布が用意されていたりと細部までこだわり抜かれている。さらに、本作では『中二病でも恋がしたい!』小鳥遊六花、『約束のネバーランド』ノーマンなどの声を担当している“まれいたそ”こと声優の内田真礼が本人役で出演。彼女のライブシーンを堪能したり、あらゆる場面で自分が親しんでいる作品を探してみたりと、無限の楽しみ方ができる。

 そして、もう1つは本作の要であるミュージカルシーン。『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの鷺巣詩郎が手がけた本格的な楽曲もさることながら、『ピーター・パン』や『リトル・マーメイド』など有名なミュージカル作品で主演を張り、女優業と並行して歌手としても活動する高畑の歌声は圧巻だ。ミュージカルに普段馴染みのない人でも、大きなステージの客席に座っているかのような没入感を味わる。特に高畑と、ミュージカル『テニスの王子様』にかつて出演していた斎藤のタップダンスを取り入れたデュエットは見物で、映画『ラ・ラ・ランド』を観たことがある人は誰もが既視感を覚えるはず。ミュージカルに初挑戦となった山崎のほか、菜々緒やムロツヨシといった面々の珍しい歌唱シーンにも注目してほしい。

 公開から1年が経ち、地上波初放送となる『ヲタクに恋は難しい』。当初は賛否両論を呼んだが、原作の設定を引き継いだ壮大なエンターテインメントとして観ればたくさんの見どころを再発見できる。ヲタクの人も、そうではない人も今宵は日常にある“難しさ”をひと時忘れて本作を楽しんでみてほしい。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
土曜プレミアム『ヲタクに恋は難しい』
フジテレビ系にて、2月13日(土)21時〜放送
出演:高畑充希、山崎賢人、菜々緒、賀来賢人、今田美桜、若月佑美、ムロツヨシ、佐藤二朗、斎藤工
原作:ふじた『ヲタクに恋は難しい』(一迅社)
監督・脚本:福田雄一 
音楽:鷺巣詩郎
(c)ふじた/一迅社 (c)2020 映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会
公式サイト:https://wotakoi-movie.com/

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