桐山照史の努力家な一面が役柄とマッチ 『ゲキカラドウ』は辛いもの好きの食欲を刺激する

辛いもの好きを刺激する『ゲキガラドウ』

 ジャニーズWESTの桐山照史主演のドラマホリック!『ゲキカラドウ』(テレビ東京ほか)が、痛快だ。タイトルの通り、本作は激辛料理を食べまくるグルメコメディドラマなのだが、そんな一言では語り尽くせない魅力がある。そう「辛い」と言っても、その奥に複雑な旨味が絡み合うように。

素材の旨味=役柄とリンクする桐山照史の男気

 桐山が演じるのは、飲料メーカー「ロンロン」の営業・猿川健太。学生時代には応援団長を務めるなど、胸に熱いものを秘めた好青年だ。大阪本社から東京支社の営業促進室へと異動し、新規開拓に挑む。そこで出会ったのは、営業先の難易度を「1〜5辛」で表記し、日々の活力を激辛料理で養う精鋭メンバーたちだった。

 「『辛』という文字に『一』を足せば、『幸』になる」と、真剣な表情でゲキカラドウ(激辛道)を説くメンバーと共に、「辛ッ!」と言いながら激辛な料理にも営業先にも果敢にアタックしていく猿川。そのまっすぐで誠実な姿が、実にあっぱれなのだ。

 この猿川の気持ちいい仕事っぷり&食べっぷりは、桐山照史というアイドルの男気がにじみ出ているものなのだろう。デビュー前から関西ジャニーズJr.として後輩たちをリードし、必要に応じて礼儀についてしっかり指導することもあったと聞く。ホームである大阪から東京へ進出する際に見せた「関西ジャニーズJr.を代表している」という責任感の強さも、見るからに伝わってくるものがあった。

 ジャニーズWESTとしてデビューした後もメンバーを想い、率先してグループのために盛り上げ役に徹してきた彼を思い返すと、仮にジャニーズアイドルではなく会社員をしていたとしても、きっと仕事ができる人だったのだろうと想像がつく。

 本人も、番組発表時に「もちろん役作りはしますが、桐山と猿川がリンクする部分が多いので、ご飯を食べる所はあまり作りすぎず、本当に美味しいと思うものを美味しいと表現できたらと」(参考:ジャニーズWEST 桐山照史、『ゲキカラドウ』でドラマ単独初主演決定 共演に7 MEN 侍 中村嶺亜ら)と、コメントしている通り、素の部分が活かせる役柄だと実感している様子。彼のひたむきで努力家な一面が、猿川という役柄と見事にマッチして、このドラマに深みを与えている。

罪な旨味=飯テロ上等のドM鑑賞

 実は、本作がオンエアされるのは、深夜0時12分。ちょうど夜食が美味しくもありつつも、胃の中に何かを入れるには罪悪感たっぷりな時間帯。しかし、だからこそ気持ちいいくらいに食べまくるキャストの姿に、目を奪われてしまうのだ。

 グツグツと煮えたぎる真っ赤な料理たち。反射的に目が潤み、汗が吹き出し、ヒーハーと息をもらしながらも口に運んでいく箸が止まらない。そんな姿を見ていると、なんともたまらない気持ちになってくる。家のなかに辛いラーメンがなかったかと探したり、「この時間に麻婆豆腐のデリバリーができるお店はないか」と配達サービスのアプリで検索したり……というのは、辛いもの好きな筆者だけではないはず(そして本当に麻婆豆腐と麻辣刀削麺を完食)。

 激辛料理というのは、とにかく刺激が強い。美味しいものを味わっているという幸福感に加えて、痛みとの戦いにも思える瞬間がある。だが、作中で「仕上がった」というセリフがあるように、その辛さを乗り越えた先にあるのは、ストレス解消方法とも、エンターテインメントとも言える爽快感。そして、もし食べすぎてしまったとしても、カプサイシン効果ですべて燃えてくれるという謎理論で突破する凄みもある。

 だから、この『ゲキカラドウ』を観るときくらい、飯テロを直撃して辛い料理を食べまくってもOKなのだ……ということにしたい。「ダメだダメだ、こんな時間に食べては」という罪悪感さえも最高の調味料。桐山扮する猿川ら営業メンバーと共に、「辛い辛い」とかっこんでこそドラマ『ゲキカラドウ』を丸ごと味わえるのだ。

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