香取慎吾が月曜夜10時の地上波テレビに帰還 『アノニマス』で匿名社会に“華麗なる逆襲”

香取慎吾、『アノニマス』で“華麗なる逆襲”

「罪」を背負ってでも生きていかなければならない私たちに

 第1話を観ていて、耳についた言葉は「罪」だ。万丞は、元捜査一課で相棒を失って「指対」にやってきたワケあり刑事。捜査一課の羽鳥(山本耕史)から「まだ辞めないのは“罪滅ぼし”のつもりか。相棒を見殺しにした」と挑発されると、胸ぐらを掴み合い火花を散らす。そして万丞とバディを組むことになった正義感の強い新米刑事の碓氷咲良(関水渚)も、仕事に熱心な理由を「これが私の“罪滅ぼし”みたいなもの」と意味深につぶやく。

 また「指対」が動いたことで、世間の視線は梢の両親に集中し“自分たちが梢を死なせた”という「罪」の意識が2人の中に芽生えていく流れもあった。SNSの誹謗中傷を恨み、自分たちの罪から逃れようとしていたのではないか、と「指対」への相談を取り下げるところまで追い込まれていく。

 「あのときああしていなければ」「こうしていなければ……」という思いは、悲しい現実を前に誰もが考えることだ。直接的なトリガーではなかったとしても、そうした展開になるまでの流れを作ったのは、自分にも非があると言える。それほど人は人と複雑に絡み合って生きている。誰かの悲しみを誰か1人の「罪」だと言い切れるほど、人生は単純じゃない。

 そして厳しいことに、誰のことも傷つけずに生きていくのは理想的だが、現実的ではない。特にSNSの世界では、状況の全く異なる視点を持って日々を生きている人のもとに何気ない言葉が届いてしまうことがある。例えば「ごはんがおいしい」というつぶやきに、「世界には飢えに苦しんでいる人がいるのに」という言葉が返ってくることも珍しくない。

 SNSで世界中の人と繋がることがたやすくなったからこそ、思ってもみなかった角度から自分の非を指摘されることも多くなった。悪気がなかったのに相手を傷つけてしまったと、呵責の念に駆られやすくなった世の中でもある。そして、その数が増えていくと、もうやり直しがきかないんじゃないかという思いに押しつぶされそうになる。

 「俺のせいだからこそ絶対に俺が事件の真相を突き止める」「自分に非があるからといって、相手の罪を責める権利がなくなるわけじゃない」相棒を失ったという罪を背負い、真相を突き止めようと覚悟を決めた万丞が、まっすぐに見つめてそう訴える。

 このドラマでは攻撃側にならないようにと呼びかけるのはもちろんだが、自らを追い込みやすい人たちへのメッセージも込められているように感じた。駆りたてられた罪の意識(=仮想の断罪)に追い込まれるのではなく、物事の真相(=自分の目で確かめる現実)と向き合うことが大切だと、万丞は示してくれているのではないか。

 そんな万丞の前に立ちはだかる、ハンドルネーム「アノニマス」。警察しか知り得ない情報をネットに流し、指殺人を助長するかのような動きを見せる。そして、元相棒・倉木セナ(シム・ウンギョン)が絶命する直前に発していたのも「アノニマス」だった。「アノニマス」とは何者なのか。匿名社会への警鐘を鳴らしながらも、エンターテインメントとしてもグッと掴まれる展開。気になる続きは、来週の月曜夜10時に。ワクワクしながらテレビの前でスタンバイだ。

■放送情報
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:香取慎吾、関水渚、MEGUMI、清水尋也、山本耕史 シム・ウンギョン(特別出演)、勝村政信ほか
第1話ゲスト:松平健、床嶋佳子、山中崇、八木莉可子、中田青渚
第2話ゲスト:深川麻衣、田中俊介
第3話ゲスト:紺野まひる、青木柚
オープニングテーマ:アイナ・ジ・エンド「誰誰誰」(avex trax)
監督:及川拓郎、湯浅弘章、大内隆弘
脚本:小峯裕之、玉田真也、入江信吾
音楽:山下宏明、丸橋光太郎
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、北川俊樹(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、稲垣護、佐藤満、高橋潤
制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
製作著作:「アノニマス」製作委員会
(c)「アノニマス」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/
公式Twitter:@txdrm_anonymous
公式Instagram:txdrm_anonymous

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