『ボス恋』『ホリミヤ』など出演作が急増 久保田紗友、2021年を代表するブレイク女優に?

久保田紗友、2021年ヒロインに期待大

 昨年公開された新田真剣佑と北村匠海のダブル主演映画『サヨナラまでの30分』は、それほど話題にならなかった作品ではあるがかなりの掘り出し物であり、ここで久保田が演じたのは新田演じるミュージシャンのアキの恋人・カナ役だ。不慮の死を遂げたアキが、ひょんなことから北村演じる颯太の体を借りてかつての仲間たちに会いに行くという青春ストーリーにおいて、ヒロインとして“遺された者”の悲しみを体現していく。その姿は実に魅力的で、芯の強さや健気さは、それまでの作品で得てきた優等生タイプのイメージが非常にうまく応用されたといえよう。

『サヨナラまでの30分』(c)2020『サヨナラまでの30分』製作委員会

 この応用力が活かされたことによって、2020年の彼女のフィルモグラフィはかなり密度の高いものとなったはずだ。優等生タイプという得意分野が高校生の恋愛劇へ代入された久々の連ドラ主演作『鈍色の箱の中で』(テレビ朝日系)。摂食障害に苦しみながら祖父思いの少女を演じた『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)における彼女のサイドストーリーは、確実に“お仕事ドラマ”の物語性を豊かにした。また、主人公へ強いライバル心をこじらせることで“悪役”としてのポジションを確立した『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)であったり、それらの武器を集約させたかのような『先生を消す方程式。』に至るというわけだ。

 『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』では上白石萌音演じる主人公・奈未と同じファッション誌「MIYAVI」の編集部で働く“編アシ”の和泉遥役として登場。第1話ではその意識の高さを奈未に語るのだが、その後仕事でミスをしてしまいピンチに陥ったところを奈未に助けられる。今後のエピソードでも奈未の良きライバルとして、物語の重要な部分を担っていくことだろう。

 またアニメ版も話題を博した『ホリミヤ』では、持ち前の優等生タイプのキャラクター性にさらにブラッシュアップをかけ、5月には紺野彩夏とダブル主演を務める映画『藍に響け』も待機。これまでのキャリアで蓄積されてきたいくつもの武器を持った久保田は、2021年を代表する女優のひとりとして待望のブレイクを果たすにちがいない。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉、高橋メアリージュン、なだぎ武、高橋ひとみ、倉科カナ、ユースケ・サンタマリア
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデューサー:松本明子
編成:宮崎真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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