新文芸坐×新宿武蔵野館×立川シネマシティの担当者が語り合う、コロナ禍以降の映画館

コロナ禍を考える映画館座談会

映画館だからこそ体験できる、知らない映画との出会い

――以前、文芸坐は公開された新作をチェックして、2本立てに合いそうな組み合わせを考えていると話していましたが、新作が途切れ途切れに公開される今、旧作での組み合わせをメインにしていくのでしょうか?

花俟:今はシネコンでの上映作品に偏りがあるので、世間的に観られていない作品がたくさんあるんですよ。それを紹介したいなという気持ちはあります。だから、まだまだ新作を2本立てでやる気は全然ありますよ。しかし作品数は減っているし、先ほどの話に出た通り、リバイバル上映が増えている。その中でうちは『エレファントマン』と『ウィッカーマン』の2本立てを企画しました(笑)。(※1月14日〜1月20日上映)

遠山:「マジか」ってなる組み合わせじゃないですか(笑)。

花俟:格好よく「何にすがれば生きていけるのか」ってキャッチフレーズはあるんだけど、冬の“マン祭り”みたいな感じで(笑)。

遠山:マン祭り(笑)。さすがですね。

花俟:お前はどこのマンじゃ、みたいな(笑)。

西島:キャッチフレーズまみれですね(笑)。

花俟:凄い組み合わせなんだけど、観た人はショックを受けると思うんだよね。こんな映画があるんだと。そうすると、土壌が広がっていて、ゆくゆくは、僕らのお金になって還ってくるという考えなので、もう事故みたいな2本立てをどんどんやってきたいと思いますけど(笑)

――Netflixをはじめとした動画配信サービスでは、観た作品に関連するものをどんどん勧められるので、意外な作品と出会う機会は減っているように思うんです。花俟さんのような組み合わせは絶対にNetflixでは観られないかと(笑)。

花俟:ちょっと暴力的な組み合わせですけど(笑)。

遠山:昔のようにテレビで映画を放送する機会が減ってしまったので、映画との偶然の出会いがなくなっちゃいましたよね。自分もそれを作りたいです。

西島:配信で勧められるものには驚きがないんですよね。ジャンルや出演者だけでの予測なので、新鮮味もあまりない。花俟さんの組み合わせのように、本当に面白いものはアイデアと情報量を両方持った人ではないとできない。映画って自分では絶対選ばなかったであろう作品にこそ意外な掘り出し物があるのが面白いところですよね。

遠山:名画座の2本立てで、目的じゃない方の映画を観て、そっちの方が面白かったときの衝撃は忘れられないですからね。

西島:拾い物というか、見つけた感がありますよね。

花俟:オールナイトで3〜4本上映する際は、絶対に1本は事故みたいな作品を入れるようにしています(笑)。

西島:その結果、目当てにしていた作品は寝ちゃって、反対に事故映画の方をしっかり観ちゃうというケースも、実際個人的にそこそこありました(笑)。

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