高橋一生×森下佳子のキーワードは“月” 『おんな城主 直虎』から『天国と地獄』へ続く“宿命”

高橋一生×森下佳子のキーワードは“月”

 『天国と地獄』における「太陽」は、綾瀬はるか演じる、昼の世界を突っ走る、努力家で、人一倍正義感が強すぎるあまり、ちょっと空回り気味な刑事、望月彩子。一方「月」は、高橋一生演じる、夜の世界にひっそりと潜む、表向きはやり手経営者、実はサイコパスなシリアルキラー、日高陽斗。完全に正反対の2人の魂が入れ替わってしまったら、一体どうなってしまうのか。

 最も注目すべきは、共に演技巧者である高橋一生、綾瀬はるかが善悪正反対の2つの人格をどう演じるかということだろう。原作ファンの間でも再現率が高いと話題になったが、原作と切り離して見ても傑作だった、昨年末に放送された『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)において、岸辺露伴役を見事に演じた高橋一生。今度は、サイコパスと、見た目はサイコパスだが内面は女性刑事という難役を演じる。一体どんなふり幅を魅せてくれるのだろうか。楽しみでならない。

 「入れ替わり」をテーマに描いた作品は、それこそ同級生の男女が入れ替わる金字塔、大林宣彦監督の映画『転校生』や、父と娘が入れ替わるドラマ『パパとムスメの7日間』(TBS系)、娘と妻が入れ替わる東野圭吾の小説『秘密』など多くあるが、刑事と殺人犯が入れ替わった場合、想像し得る問題は山積みである。

 警視庁捜査一課の紅一点として働く、明らかに面倒な男性社会の中を生きているだろう、女性の中身が男性に入れ替わったらどうなるのか。彼はどう感じるのか。またそれぞれの人間関係がしっかり構築されているだろう、キャリアと経験を積んできた2人の人格が入れ替わったら、彼ら自身だけでなく、周囲にも何かしらの化学反応が起こっていくことも想像できる。そういった点にも注目して観ていきたい。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住。学生時代の寺山修司研究がきっかけで、休日はテレビドラマに映画、本に溺れ、ライター業に勤しむ。日中は書店員。「映画芸術」などに寄稿。
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■放送情報
日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』
TBS系にて、1月17日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝
脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
製作著作:TBS
(c)TBS

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