『おちょやん』篠原涼子ら「岡安」メンバーが久々の登場! 千代と千鳥は新たな挑戦へ
山村千鳥一座の「正チャンの冒険」は人気を呼び、1週間延長された後に千秋楽を迎える大盛況となった。『おちょやん』(NHK総合)第29話では、座長の千鳥(若村麻由美)が一座の解散を決める。
棒読みか叫び声という酷すぎる千代(杉咲花)の演技は、千鳥による猛特訓の成果もあり、新聞で「今回が初舞台の新人女優、粗削りだが見所あり」と劇評が載るほどの成長を遂げた。さらに、千代のアドリブで足された「今までつらいことばっかりやったかも分かれへんけど、大丈夫、だんない。きっと、これからはええこともぎょうさんある。せやさかい、みんな一緒に楽しい冒険を続けよう!」というセリフと本気で伝えようとする真っ直ぐな姿勢は、子供たちに勇気を与え、千鳥の心までをも動かしていた。
山村千鳥一座の解散という決断は、決してネガティブなものではなかった。千鳥は千代のひた向きな演技が観客を感動させているのを見て、自分が独り善がりで傲慢になっていたことに気づき、一人で全国を回って鍛え直すことを決めたのだ。千鳥はどこまでもあまのじゃくな人間であるが、その言葉や行動の裏には自らを戒め、他人にも誠実でいられる心を持っている。でなければ、千代をはじめとする座員たちに次の紹介状を書いたりはしない。
千代には憧れの高城百合子(井川遥)が看板女優を務める鶴亀撮影所を紹介した。「自分の未熟さを行って思い知るといいわ。次に会う時には、あなたの困り果てた顔見るの楽しみにしてるから」と木刀を向ける千鳥。晴れやかな顔には薄っすら微笑みが浮かぶ。
千代は「どうしてそんなに笑っていられるの?」という千鳥からの問いに、「今は帰る場所があります。うちを待っててくれはる人たちがいてるさかい」と答えた。それはシズ(篠原涼子)らがいる岡安を指しているが、“場所”がなくとも、また会いたい人がいればその心の持ちようは一緒だ。千代はまた一つ笑っていられる理由が増えた。きっと、千鳥も同じように。
「カフェー・キネマ」で1分だけ許された岡安への電話で千代は、シズに役者をしていること、新聞に掲載されたことを伝えた。千代の帰りを待つ岡安一同の中には、一平(成田凌)の姿も。千代が役者を目指していることを聞き、驚きの表情からやがて遠くを見つめる。千代の役者としての成長は一平の心までも動かすことになるのだろうか。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/