終盤の映像は事故レベル!? ギャスパー・ノエが『ルクス・エテルナ 永遠の光』で誘う狂気の世界

『ルクス・エテルナ』の狂気の世界を体感

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、ギャスパー・ノエと2人で一緒にタバコを吸った経験のある宮川が『ルクス・エテルナ 永遠の光』をプッシュします。

『ルクス・エテルナ 永遠の光』

 『アレックス』(2002年)、『エンター・ザ・ボイド』(2009年)、『LOVE【3D】』(2015年)など、毎回賛否両論を巻き起こす作品を世に送り続けているフランスの映画監督ギャスパー・ノエ。今回紹介する『ルクス・エテルナ 永遠の光』は、第71回カンヌ国際映画祭の監督週間で芸術映画賞を受賞した前作『CLIMAX クライマックス』(2018年)に続き、翌年の同映画祭のミッドナイトスクリーニング部門で上映され物議を醸した問題作だ。日本では昨年、シネマート新宿・心斎橋にて開催された映画祭「のむコレ2020」にて限定的に上映されたが、このたび全国順次公開される運びとなった。

 この『ルクス・エテルナ 永遠の光』という作品は、アートと深い関わりを持つファッションブランド「サンローラン」のクリエイティブディレクターであるアンソニー・ヴァカレロが、「様々な個性の複雑性を強調しながら、サンローランを想起させるアーティストの視点を通して現代社会を描く」というコンセプトでスタートさせたアートプロジェクト「SELF」の1作として製作されたもの。ちなみに『ルクス・エテルナ』は「SELF」の第4弾作品で、第1弾には写真家の森山大道、第2弾には現代パフォーマンスアーテイストのヴァネッサ・ビークロフト、第3弾には小説家のブレット・イーストン・エリス、そして第5弾には映画監督のウォン・カーウァイが起用されている。

 近年はよりアート性が高まっている印象のあるギャスパー・ノエ作品だが、『ルクス・エテルナ 永遠の光』はまさにその真骨頂といえる。“魔女狩り”をテーマにした映画の撮影現場という舞台設定で、そこに集った女優、監督、プロデューサーたちによる会話が中心に話が展開していく導入部こそ物語性が強いが、現場が混乱していく様子と並行して、われわれ観客が目にするスクリーンでも次第に混沌の世界が広がっていく。

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