芦田愛菜は2021年の日本の救世主? 『えんとつ町のプペル』『麒麟がくる』で第2のブレイク期に
6年ぶりの主演となった映画『星の子』も話題を呼んだ女優の芦田愛菜。2020年はバラエティ番組や声優、CMにも数多くに出演し、天才子役として名を轟かせ、2011年の『マルモのおきて』(フジテレビ系)時代を彷彿とさせる活気を呼んだ。昨年末からはNHK大河ドラマ『麒麟がくる』でのたま(ガラシャ)役で初登場し、映画『えんとつ町のプペル』ではメインキャラクターの声優を担当。いずれのニュースもトレンド入りを果たすなど今再びの注目を集めている。第2のブレイク期に突入したと言える芦田愛菜の演技力を再考したい。
2007年3歳の時に母親の勧めで芸能界入りした芦田は、2010年のドラマ『Mother』(日本テレビ系)で母親のネグレクトに耐える娘役で、自分の感情を極限まで抑え、大人たちに気を使う複雑な感情をわずか5、6歳で完璧に演じ、注目を集める。同年には映画『ゴースト もういちど抱きしめたい』で第34回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞し、そして2011年に『マルモのおきて』(フジテレビ系)で人気を不動のものに。子どもらしさを微塵も感じさせないセリフ覚えと演技力があるからこそ、リアルな子供の姿を演じられる。そんな彼女の演技としての力量も話題を呼んだ要因の一つだろう。そして2013年には映画『パシフィック・リム』でハリウッドに進出するなど、子役としての頂点を極め、天才子役として国民的な人気者となった芦田が、今や16歳の高校生となり、本格派女優へと進化している。
最近の芦田は、子役時代のピュアなイメージこそ変わらぬまま、どこか心に余裕があるような凜としふるまいと言葉遣いがより大人びた上品さを感じさせる。中学生時代は女優としての露出は抑え気味ながらも、2019年に「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」での祝賀メッセージを述べる大役を担い、『24時間テレビ』(日本テレビ系)のサポーターや『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)でのクレバーな名司会ぶりを見せるなど、“子役”のイメージから“タレント”としての成長を印象づけた。
そして満を持して主演を務めた映画が『星の子』。新興宗教に深くハマった両親を愛しながらも、自ら人生を踏み出そうとする中学3年生の葛藤を描いた作品。子役時代は大人たちに振り回され、大人たちに気を使い我慢をするという役柄が多かったが、15歳の役を演じることで、友達関係や初恋など多感な思春期の揺れ動く感情だけでなく、自らが人生を選択できることへの葛藤をも表現していく。素直に迷いを観客伝えるその繊細な演技を自然に見せることができるのも、演技力に年齢が追いついたことがなせる技。“天才子役”と呼ばれる女優は、そのイメージがつきまとい苦労することも多いが、芦田の場合は決して子役時代を否定するのではなく、芦田に抱くイメージがアップデートされた演技を魅せる。そこに何か女優を超越した人間的な魅力を感じる。