間一髪で2020年劇場公開に間に合った『ワンダーウーマン 1984』

ワンダーウーマンは「奇跡」を見せてくれるか

 先週末の動員ランキングは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』6週連続で1位。土日2日間の動員は74万8000人、興収は10億3200万円。11月23日(月・祝)までの累計では動員1939万人、興収259億円を突破。『君の名は。』と『アナと雪の女王』を抜き去って、歴代興収ランキング3位にまで上昇してきた。実は先週末、全国各地のシネコンで最大スクリーンを『STAND BY ME ドラえもん 2』に奪われるという事態が起こっていたのだが、そんな逆境をものともせず、歴代興収記録トップ作品『千と千尋の神隠し』の持つ興収308億円を超える勢いで着々と記録を積み上げている。

 その『STAND BY ME ドラえもん 2』の土日2日間の動員は30万5000人、興収は3億8600万円。2014年に公開された前作比で、初動記録はほぼ半減。このペースでは、最終興収は半減どころでは収まらないだろう。公開前に一部の興行記事では『鬼滅の刃』との「首位争いに注目」などという文言が躍っていて思わず目を疑ったが、本コラムで1カ月前(参考:止まらない『鬼滅の刃』の無限興行列車 年内はこのままずっと1位の可能性も?)の時点ではっきり書いたように、『スタドラ2』が『鬼滅の刃』に一矢報いることもできないことは容易に予想できることだった。『スタドラ2』のために割いていたことでガラガラになってしまったIMAXのスクリーンを埋めるために、急遽『TENET テネット』の再上映が決まるなど、各シネコンは対応に追われている。「ドラ泣き」は「ドラ泣き」でも、今回の『スタドラ』が泣かせたのは観客ではなく興行関係者、というオチがついたわけだ。

 先週は、映画ファンにとって久々の嬉しいニュースも飛び込んできた。11月18日(米国時間)、アメリカやヨーロッパ各国で一向に収まらないコロナウイルスの感染拡大(日本も他人事ではない状況だが)を受けて、もはや風前の灯と思われていた『ワンダーウーマン 1984』の年内劇場公開が決定した。当初の公開予定日は12月25日だったが、日本では1週間公開日が前倒しとなって12月18日に決定。これは、16日に公開されるフランスとイギリスとオランダ、17日に公開されるシンガポールに次ぐスピード公開ということになる。

 一部ではディズニーの『ムーラン』や『ソウルフル・ワールド』のように、劇場公開が見送られて配信公開となる可能性も報じられていた『ワンダーウーマン 1984』。急転直下で全世界劇場公開が実現した背景には、アメリカの公開日12月25日と同日に、ワーナー傘下のストリーミングサービス、HBO Max(今のところ日本でのサービス展開は未定)での配信リリースに踏み切ったことがある。ちなみに、アメリカのHBO Maxでは12月25日から1カ月間、通常サービス内(追加料金なし)での配信が予定されている。

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