ブラッド・ピットにシャーリーズ・セロンも 米大統領選でのハリウッドスターの動きを振り返る
ハリウッドの共和党支持者にも触れていきたい。人気女優アンジェリーナ・ジョリーの父親で、映画『真夜中のカウボーイ』で主演を務めたジョン・ボイドは、以前に「トランプ大統領は、エイブラハム・リンカーンの以来の偉大な大統領」と持ち上げたり、バイデン候補は「悪だ」とTwitterで露骨に批判している。
そのほかに、TVシリーズ『ヘラクレス』のケヴィン・ソルボは、「僕はバイデン大統領候補の旗を掲げてドライブしている人々を一度も見たことがない。高校の講堂さえ埋めることができない男が、いかにこの国を導いていけるのだろうか、誰か説明してほしい」とコメントしたことで、様々なメディアに取り上げられ批判を浴びた。
開票後は、周知の通り、バイデン大統領候補が当確と報道。シャーリーズ・セロンは「女性として、母親として、今日のニュースをとても誇りに思った。ようやく私はわが子に、私たちは嫌悪でなく、人間性で選ぶ国に住んでいるのと言うことができます」と喜びをTwitter上で語った。
As a woman, and as a mother, today’s news makes me immensely proud.
I can look at my kids and finally tell them they live in a country that has chosen character and humanity over hate. #BidenHarris2020
— Charlize Theron (@CharlizeAfrica) November 7, 2020
マーク・ラファロも「開票作業をしてくれた人々へ。危険な状況で一生懸命仕事をしてくださってありがとうございます。どちら側を支持するかに関係なく、民主主義の価値を貫いてくださったことに感謝します」と開票作業の人々への感謝を表明するなど、開票のタイミングではSNSを中心に、ハリウッドの俳優が多くのコメントを残し、改めて政治とエンターテインメントの密接な関係を感じさせた。
最後にコロナ禍の影響が未だ大きい、現在のハリウッドの状況をレポートしたい。ロサンゼルスやニューヨークなどでは映画館が再開できず、今年の夏に公開された映画『TENET テネット』も思ったよりも興行が良くなかったことで、多くのハリウッドのスタジオが、大作を次々に来年公開へ延期している。そのため、現在は一部の延期しなかった独立系映画を公開しているものの、週末の興行収入の1位~3位まで全部足しても、500~600万ドル程度(5億2500万円~6億3000万円/1ドル105円換算)の興行がずっと続いている。ニューヨーク、ロサンゼルスなどの大都市以外の郊外に住み、車を利用している多くの観客の立場からしてみれば、健康のリスクを冒してまで、家族のチケット代や駐車代を払って、映画館に足を運ぶ気にもならないのかもしれない。
一方、9月頃から、バンクーバーやロンドンなどで撮影も再開されているが、これはお金に余裕のある大作に限ったケース。独立系映画となると、もし感染者が一気に増えて撮影を中断した場合、大作のようにロケーションや俳優のスケジュールをずっと確保することができなかったりする。映画館の経営者やスタッフ、そしてフィルムメイカーや俳優……。それぞれがまだまだ厳しい状態にあり、感染者の減少と新大統領による政府の打開策を待っている状態だ。
■細木信宏/Nobuhiro Hosoki
海外での映画製作を決意し渡米。フィルムスクールに通った後、テレビ東京ニューヨーク支局の番組「ニュースモーニングサテライト」のアシスタントとして働く。現在はアメリカのプレスとして働き13年目になる。