『MIU404』は作り手の“本気”が詰まったドラマだった 横川良明×佐藤結衣がその魅力を振り返る

『MIU404』は作り手の“本気”が詰まったドラマだった 横川良明×佐藤結衣がその魅力を振り返る

これからの連ドラに求められるもの

ーー新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、話数が短縮されたり、各局で新ドラマのスタートがバラバラになるなど、これまでとは異なるイレギュラーな放送が続いています。

横川:「打ち切り」などはこれまでもありますが、今回のように最初から全5話のドラマがあってもいいし、逆に全20話のドラマがあってもいいのにとは思います。もちろん、役者さんのスケジュールから、スポンサーとの関係など、考えなくてはいけないことは山程あるのは分かります。ただ、作品の質だけを考えるなら、もっと自由になってもいいし、今回の『半沢直樹』(TBS系)のように途中で休止週があってもいいと思うんです。当たり前のことなんですが、コロナ禍で体調が悪いときは休まないといけない、無理してはいけないというのが浸透したように、1週休んだことによっていいものができるならその選択もあっていいはず。スケジュールに全部合わせるのがプロと言われたらそれまでなんですが。

佐藤:そうなんですよね。なんだったら、別に1時間の枠じゃなくてもいいよ、という気持ちもします。Netflixなどの配信ドラマは話数ごとに尺が違いますが、その自由さも作り手には大きいだろうなと。もちろん、1時間の中に収めるという制限があるからこそ、ブラッシュアップされる表現もあると思いますし、視聴者としてもその時間を味わう楽しみもあります。尺の固定は地上波ドラマならではの良さもあると思うので、話数はもっと柔軟にしていいかもしれないですね。『MIU404』も当初の予定では最近のドラマでは珍しい14話の想定だったようなので、これからもそんな作品が増えていくのを期待したいですね。

ーーコロナ禍で撮影現場にもさまざま変化があり、話数の変化なども今後起きていくと思いますが、どんなテーマの作品が観たいですか?

佐藤:塚原さんにインタビューで「今後どのようなドラマを描きたいですか?」と質問させていただいたとき、逆に、「佐藤さんは何か観たいドラマはありますか? 脚本は書かないんですか? 読んでみたい」と言ってくださったんです。そのときに“この方は自分たちが心底見たいドラマを作っているんだな”と胸が熱くなりました。新井プロデューサーも日々とんでもない数の企画を出されているとお聞きしましたし、たくさんある“見たい”から選びぬかれた企画が形になっているのだと思うと、改めてテレビドラマって夢があるなと。私は、そのときとっさに「最近よく見られる友だち母娘の親離れ子離れの難しさをテーマにしたドラマを……」と、お話したんですけれど、自分で話していてなんだか苦しすぎるテーマでむせました(笑)。変化していく現実の課題をリアルに描くのもしんどいですし……。

横川:難しいですよね。個人的には男女5人ぐらいの青春ドラマが観たいです。昔はたくさんあったと思うのですが、最近はゴールデンプライム帯ではまったくなくなってしまって。僕は『あすなろ白書』(フジテレビ系)の世代で、もう少し上の世代だと『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)や『男女7人夏物語』(TBS系)があって、少し下の世代のだと『オレンジデイズ』(TBS系)がありました。各世代にいい俳優も揃っていると思うので、ブームを巻き起こすような青春ドラマが生まれることを期待したいです。

佐藤:確かに青春モノに限らず、構成要素がどんどん複雑になっている印象はありますね。恋愛ドラマも、お仕事モノや社会的な生き辛さなど、何かしらの要素を盛り込んでいるように見えますし。ストレートに青春を描いても刺激が足りないと思われているのかもしれませんね。その代わりにリアリティーショーが楽しまれている感じでしょうか。

横川:恋愛の駆け引きのようなものは恋愛リアリティーショーで消費されている感じはしますね。恋リアを楽しんでいる10代は予想以上に多いです。だからこそ、連ドラでも恋愛青春ドラマは絶対に需要があると思うので。あとは作り手たちが10代~20代の感覚をいかに理解できるか。恋リアの方が人気が出ているのも、どうしても連ドラが“自分ごと”に思えない点があるからだと思うんです。SNSの使い方ひとつとっても、どこか古臭いんですよね(笑)。今の子たちは連絡の手段がLINEだけではなくて、InstagramのDMとかでやっているんです。でも、InstagramのDMを作劇に盛り込んでいる脚本家はほとんどいません。いっそのこと開き直ってスマホ前の時代にする手段などもありますが、若者たちのリアルをしっかり書ける脚本家、そしてドラマが生まれたらまた面白くなるのではないかなと思います。

佐藤:ちゃんと取材すれば、良いものができそうですよね。逆に若者のリアルが描かれたドラマがないので、今の10代がどんな恋をしているのかすごく観てみたいですね。価値観が多様化していくからこそ、すごく小さな世界の話を細かなところまで描いたドラマがあるとうれしいなと思います。だって、そういう世代間ギャップの話って、わざわざしないじゃないですか。横川さんと私は同い年なので、わかっていただけると思うんですが、最近の子は「写メ」って言わないって知ったとき、衝撃が走りませんでした? 「マジか! これがジェネレーションギャップか」と膝から崩れ落ちました。

横川:写メって言っちゃった!ってなっちゃいますもんね(笑)。

佐藤:『MIU404』にのめり込めたのも警察の取材をしっかりしていた点にあると思うんです。なので、極論かもしれないですが、青春ドラマを作るにあたり、10代の子が監修として入ってSNSの使い方や、言葉の言いまわし、ファッションの着こなし……などを作品に反映させるのもありなんじゃないかと。30代、40代が観たとき、ギャップがありすぎて共感できないかもしれないし、全然違うものを知ることができて面白いと感じるかもしれないし、それはどっちになるかわからないですが。何度も言わせてもらいますが「写メ」の衝撃を受けた私としては、そういう新しい視点がもらえるドラマは「観なきゃ!」って思います(笑)。

横川:そうなんですよね。往年の作り手たちが価値観をアップデートせずに、無理して今のお話にしようとするからものすごい違和感を感じてしまう。だから、時代設定を過去に設定するのも全然ありだと思うんですよ。80年代のリバイバルと言える『今日から俺は!!』(日本テレビ系)も、90年代の『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日×ABEMA)がバズったのも、知らない世代はファンタジーとして楽しめるし、当時を生きた世代はノスタルジーとしても楽しめるし。「たまごっち」とか出てきたら我々の世代はSNSで大騒ぎですよね(笑)。

佐藤:あはは。プリクラやガラケーなど生活のなかにデジタルが入ってきたと思ったら、まだまだ学校では友だちといろんな形に折った手紙を交換するようなアナログ部分もあって……あの時代の青春もあれはあれで貴重でした。映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で描かれたような、ある一定の時代を細かく取材して「あったあった!」とみんなで平和に騒げる青春ドラマ、ぜひ観たいですね(笑)。

■リリース情報
『MIU404』
2020年12月25日(金)発売

【Blu-ray】
価格:28,800円(税別)
仕様:2020年/日本/カラー/本編(尺未定)+特典映像/16:9 1080i High Definition/Vol.1~3:2層、Vol.4:1層/音声:リニアPCM2chステレオ/字幕:日本語(本編のみ)/全11話/4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)

【DVD】
価格:22,800円(税別)
仕様:2020年/日本/カラー/本編(尺未定)+特典映像/16:9LB/片面1層/音声:ドルビーデジタル2ch/字幕:日本語(本編のみ)/全11話/6枚組(本編ディスク5枚+特典ディスク1枚)
※仕様は変更となる場合あり。

<特典映像>
1Sインタビュー集、SPOT集ほか(予定)

<初回生産限定封入特典>
劇用車「まるごとメロンパン号」クラフト(PP素材)

<封入特典>
ブックレット(脚本家・野木亜紀子による各話ライナーノート“nogi note”を掲載)

出演:綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、黒川智花、渡邊圭祐、金井勇太、番家天嵩、菅田将暉、生瀬勝久、麻生久美子
脚本:野木亜紀子
主題歌:米津玄師「感電」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:得田真裕
発売元:TBS
発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
(c)TBSスパークル / TBS

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