『HiGH&LOW』は“永遠”から“継承”へ 『THE WORST』スピンオフドラマの狙いは?

『HiGH&LOW』は“永遠”から“継承”へ

 EXILE HEROが企画・総合プロデュースを務める総合エンターテインメントプロジェクト『HiGH&LOW』(以下、『ハイロー』)の新プロジェクトとなる全6話の連続ドラマ『6 from HiGH&LOW THE WORST』が11月19日から日本テレビ系の深夜ドラマ枠で放送される。

 本作は昨年公開された映画『HiGH&LOW THE WORST』(以下、『ザワ』)の後日談となる物語で主人公は、希望ヶ丘団地で共に過ごした幼馴染6人。

 天真爛漫な花岡楓士雄(川村壱馬)、成績トップの桐原誠司(白洲迅)、ケンカが好きな尾々地真也(中務裕太)、正也(小森隼)のオロチ兄弟。お転婆で勝ち気な石井マドカと内気な性格の前川新太(矢野聖人)。個性がバラバラの6人は固い絆で結ばれていた。10年前に埋めたタイムカプセルを埋めた6人が揃った夜の帰り道、突然の悲劇が起こる……。というのが現在紹介されているあらすじだ。

 『ザワ』は『ハイロー』の中では外伝的な作品で、高橋ヒロシの不良漫画『WORST』(秋田書店)とリンクした世界観となっており、劇中では『WORST』に登場する鳳仙高校と『ハイロー』に登場する鬼邪高校の不良たちが戦う姿が描かれていた。

 SWORD地区を統治する5つのチームの抗争が裏社会を牛耳る九龍グループとの戦いとなり、物語が行き着くところまで行き着いてしまった結果、次の展開が難しい中、新たな可能性として注目されているのが『ザワ』である。

 本編と違うのはサイズダウンしたことで、地に足のついた密度の濃い物語を展開できているところだろう。

 これは『ハイロー』では、地元商店街とのつながりが強かったコブラ(岩田剛典)たち山王連合会のパートで掘り下げるべきだった物語で、うまく描くことができれば宮藤官九郎脚本の『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』(ともにTBS系)のような、地に足のついた20代前後の若者(マイルドヤンキー)の青春ドラマに仕上がったと思うのだが、シリーズは日常的な物語を丁寧に見せていくよりも、LDHが得意とするMV的な映像によるド派手な集団アクションを見せる方向へ本編は向かっていった。

 この選択は結果的に大成功だったと言える。筆者はテレビドラマ『HiGH&LOW~STORY OF S.W.O.R.D.~』(日本テレビ系)が始まった当初から『ハイロー』に注目していたのだが筆者の評価は、ビジュアルとアクションといった映像面のもので、ドラマとして話の見せ方や各キャラクターの描写に関しては厳しいものがあったと記憶している。  

 何より、あの誰が誰だかわからないまま進んでいく破格の群衆劇に戸惑ったのだが、このバランスの悪さ(普通のドラマは脚本が良くても、ビジュアルが貧しいので真逆である)が病みつきとなり、「これは今まで自分が観たことがない新しいドラマだ」と思って追っていたのだが、本格的に人気の火が付いきEXILEのファン以外の層まで広がったのは、劇場版第1作『HiGH&LOW THE MOVIE』(以下『ザム』)からだった。

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