『恋する母たち』恋愛ドラマの名手は“心の殺人”をどう描くのか 心の隙間に現れる3人の男性たち

『恋する母たち』“心の殺人”をどう描くのか

 金曜ドラマ『恋する母たち』(TBS系)がスタートした。原作・柴門ふみ(『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』『Age,35』)×大石静・脚本(『セカンドバージン』『大恋愛~僕を忘れる君と』)と、恋を描き続けきた名手2人がタッグを組み、令和を生きる母たちの恋模様を紡ぐ。

 しかも、その母たちを演じるのは木村佳乃、吉田羊、仲里依紗と演技派揃い。さらに、主題歌は松任谷由実ときた。経験豊富な大人の女性たちが描く、ラブストーリーに注目が集まる。

 有名進学校の教室で、息子たちの同級生ママとして知り合った、シングルマザーの石渡杏(木村佳乃)、バリキャリ女性の林優子(吉田羊)、セレブ妻の蒲原まり(仲里依紗)の3人。彼女たちに共通するのは、息子たちがそれぞれ問題を抱えていること。

 杏の息子は素直だが成績が振るわず、優子の息子は優秀だが引きこもり、まりの息子は裕福な暮らしに甘える一方で成績は常に最下位。このままでは留年、そして学校側からは自主退学を勧められてしまうのだった。3人は母として子を導こうとするほど、そもそも自分の人生さえ思い通りにいっていないことに気づかされる。

 杏は、ある日突然、夫が失踪。会社の金を使い込み、さらには見らぬ人妻・由美と駆け落ち。愛されていると信じきっていたからこそ傷は深く、反動で由美の夫・斉木巧(小泉孝太郎)と一夜を共にしてしまう。それから11年、不動産会社でパートに勤しみ、息子も素直でいい子に成長した。仲のいい母子の関係性を築いているが、未だに夫の行方はわからない。

 一方、優子は仕事では華々しい活躍を遂げており、女性初の役員候補として社内でも注目を集める。だが、ある痴漢の証言を引き下げろという指示に反発すると上司からの風当たりが厳しくなり、リーダーのポジションは若手男性社員に渡ってしまう。しかし家には売れない小説家の夫・シゲオ(矢作兼)と引きこもりの息子。養っていかなければならない立場の優子は、弱音をなかなか吐くことができない。

 まりは、夫が職場に愛人がいることを盗み見たスマホで確信。自分と同じ寝室で寝るときには、アイマスク&耳栓で完全に存在をシャットアウトするのに……。とはいえ、息子のみならず2人の娘もいる専業主婦。3人の子どもを連れて、すぐに離婚をすることなんてことはできない。そんなとき夫の愛人が宣戦布告と言わんばかりにやってくる。どんなに高層マンションの窓から街を見下ろしても、たった1人の女のマウンティングに凹まされるのだった。

 傍から見ればそれなりに幸せそうに見えるに違いない。でも、それぞれの家の中には、他人には大きな声で言えない秘密と悩みがひそんでいるのだ。家族といるはずなのに、1人のときよりもよっぽど寂しくて孤独。そんな3人の心の隙間に、それぞれ魅力的な男性が現れる。

 杏のもとには、夫の居場所を突き止めた斉木が再び姿を見せ、優子は部下の赤坂(磯村勇斗)と“エレベーターの中で停電”という吊り橋効果抜群なシチュエーションに。そして、まりには有名落語家の今昔亭丸太郎(阿部サダヲ)から猛アプローチをかけられる。

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