妻夫木聡主演『危険なビーナス』映像化で注目すべき“謎” 結末は原作通りか、オリジナルか?

『危険なビーナス』映像化で注目すべき“謎”

<第3の謎>母・禎子の死と父・一清の絵

 伯朗が「矢神」の姓を名乗らないのは、康治の実子である明人とは違い、矢神家の血を受け継いでいないから。伯朗は、売れない画家・一清(R-指定/Creepy Nuts)と母・禎子(斉藤由貴)の間に生まれた子だった。一清は静物画を得意としていたが、最後の作品だけはとても抽象的な絵を描いていた記憶がある。だが、それが具体的にどんな絵だったかは思い出せないが、それまでとは全く異なる画風への違和感だけが残っていた。

 その一清は33年前に亡くなり、禎子は矢神康治と再婚。血筋を重んじる矢神家にとって、禎子の連れ子だった伯朗は、肩身の狭い思いをする。そして禎子も16年前、伯朗が大学生のころに事故で亡くなると、いよいよ矢神家との距離を取るようになっていった。

 そんな伯朗が家族のように慕うのは、禎子の妹・順子(坂井真紀)と数学者の憲三(小日向文世)の兼岩夫妻。子のない2人は、甥っ子である伯朗を実の子のように接し、一清の作品も預かってくれている。だが、あの最後の絵だけはそのなかに見つからないのだ。もしかしたら矢神家の財産として取られてしまっているのかもしれない。矢神家には関わらないと決めていた伯朗だったが、実父の作品が関係しているのなら、まさに他人事ではない。

 矢神家の財産の中に、あの絵はあるのだろうか。そして、明人が失踪した今、母の死も本当に単なる事故死だったのかとも思えてくる。強欲な矢神一族ならば、遺産を手に入れるために何かしてもおかしくない。相続人の明人の失踪、当主の妻となった禎子の死、見つからない一清の遺作……次々と出てくる謎を解きながら、伯朗が家族を取り戻す物語にもなっている。

 果たして原作通りの衝撃的な結末が待っているのか。それとも、ドラマオリジナルの結末が用意されているのか。原作を読んでいても読んでいなくても、続きが気になってしかたなくなる良質なミステリー。秋の夜長を楽しむのにぴったりな作品だ。

■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、10月11日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
編成:佐藤美紀、高橋秀光
製作:共同テレビ、TBS
(c)TBS



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