二階堂ふみが『エール』で見せる、確かな演技力 ヒロイン・音の心をより強く代弁

二階堂ふみが見せる、確かな演技力

 二階堂は2012年に園子温監督作『ヒミズ』で第68回ヴェネチア国際映画祭の最優秀新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。染谷将太と共に手にした日本人初の快挙を提げ、その後ドラマ・映画に立て続けに出演してきた。GACKTとダブル主演を務めた『翔んで埼玉』(2019年)では少女のような風貌の少年・壇ノ浦百美役で初の男性役にも挑戦。

 数々の受賞歴に加え、コメディからシリアスな役まで、幅広く演じられる確かな実力ですぐに知名度を獲得した二階堂は、『エール』でもその実力を遺憾なく発揮している。10代から20代後半へと差し掛かるまでの音を、確かな成長としなやかな強さを感じさせる芝居で魅せた。さらに後半は、戦争に向かう夫を見送るという複雑な立場に。裕一を送り出すために溢れ出た愛情と気丈さが滲む視線には圧倒された。

 まだ結婚したばかりの頃、音楽の表現力を磨くためとカフェーで働いていた頃の音を思い起こすと、なんだか懐かしく感じられる。そして、梅(森七菜)や華(根本真陽)の隣にいる音はもう、立派な大人なのだと実感する。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、中村蒼、山崎育三郎、森七菜、岡部大、薬師丸ひろ子ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる