『エール』窪田正孝、戦争に揺れ動く裕一の心境を体現 “みんなが頑張っているから”の危うさ
全員が違和感を持ちながら見守った裕一が音に遺した手紙には、これまで音楽の道を応援してくれた音への感謝や、西洋音楽の知識が戦時歌謡に活かされたことへの複雑な感情、そして「一日も早く戦争が終わるように」と願う本当の気持ちがしたためられていた。戦下の日本で、国のために自由と日常を投げ打った人々。コロナ禍の現在もそうだが、どんな理不尽を強いられても“みんなが頑張っている”という状況で違和感を唱えることは難しい。本音を隠すうちに、犠牲を払う自分自身を正当化してしまう。そんな複雑な心境をこの一週間、窪田正孝は確かな演技力で表現した。
第18週「戦場の歌」では、裕一が激戦地・ビルマを訪れる。そこは日本軍が惨敗したインーパル作戦が決行された場所だ。日本が負け続け、多くの兵士が命を落としていく姿を目の当たりにした裕一は、今まで以上に戦時歌謡を通して国民を鼓舞した自分自身に悩まされていくだろう。より一層シリアスな展開に覚悟しつつ、窪田の鬼気迫った演技に期待したい。
■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/