松井玲奈、二階堂ふみ、森七菜による関内三姉妹の変化 『エール』三者三様の“戦下”

『エール』関内三姉妹の戦時下

 ずっと誰よりもそばでお互いを見てきた姉妹でさえ、立場が変わればその関係に歪みが生じる。『エール』(NHK総合)第16週「不協和音」では、音(二階堂ふみ)と吟(松井玲奈)、梅(森七菜)の関係に変化が現れる。

 戦時下においての音たちの生活は大きく変化した。特に長女である吟は軍人の家に嫁いだため戦争というものに対してより敏感になっていた。婦人会にも積極的に参加し、妹の音の生活態度にまで「しっかりしろ」と発破をかけ、軍人の妻の立場を懸命に全うしようとしていたのだ。

 責任感が強く、幼い頃からの夢は“お嫁さん”。婿をもらって関内家を継いでもらうという使命感で見合いをするなど、いつでも「誰かのため」に生きてきた吟だが、徐々に不満は募る。音の「好きなことで誰かの助けになるなら、向いていないことを無理してやるよりいいと思う」という言葉に対して、「あんたって時々、とんでもなく残酷なことを言うわ。自分には音楽があるけど私には何もないって、そう言いたいわけ?」とシビアな意見が飛び出すようになる。

 吟を演じた松井はしっかり者で協調性を持つ吟を熱演する。夫や婦人会からの目と、音の奔放な生活に板挟みになりながらも長女として関内家をまとめようと力を注ぐ。夫が戦地に行くときでさえ、「世話になった」と言う言葉に対して「いってらっしゃいませ。どうぞご無事で」と返すだけで「軍人の妻は無事など願うな」と一蹴されてしまう吟。夫の無事を願うことさえ叶わない吟の心の内を、下げた頭の角度や指先だけで強く表現していた。


 一方で音は、相変わらず音楽に夢中。音楽挺身隊として歌を歌うものの、「戦争のため」「お国のため」に歌うという考えにはなかなか馴染めずにいた。吟に何度婦人会への参加を促されてもほとんど顔を出さず、自分の考えで行動することの方を大切にしてきた。国ためと尽くす姉の吟とは徐々にすれ違うようになり音自身もそのことについて悩むようになる。二階堂は、どんな時も信念を曲げない音の姿を力強く演じる。

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